三、大蝦蟇おおがま
古いチャイナと日本の文献で、蝦蟇は超自然的能力を持つと信じられた──雲を呼び寄せる力、雨を降らす力、口から魔力の有る霧を吐き出して極めて美しい幻影を造る力等である。善良な精神で、聖者の友人の蝦蟇も幾らか存在する──日本の芸術で有名な「蝦蟇仙人」と呼ばれた聖者は、通常肩の上に止まるか、側そばにしゃがむ白い蝦蟇と共に描写された。幾つかの蝦蟇は邪悪な妖かしであり、人を破滅へ誘い込む目的で幻像を造り出す。この種の生物についての代表的な話は、拙著「骨董」の中に「忠五郎の話」と付けた題名で見付かるだろう。
目は鏡、
口は盥たらいの
ほどに開あく
蝦蟇もけしょうの
ものとこそ知れ
〔その目は大きく開かれ(丸い)鏡のようであり、口は洗い桶おけのそれのように開いている──この事から、蝦蟇は魔性の物(あるいは、蝦蟇は化粧の品)と知りなさい。〕