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昔 、ある長者ちょうじゃに年頃としごろの一人娘ひとりむすめがいました。娘むすめは
家いえの用事ようじで川かわの傍そばを歩あるいていましたが、このところの長雨なが
あめつづきで川かわは大水おおみずです。
「まあ怖こわい。気きをつけて歩あるかないと。…あっ!」運悪うんわるく娘むすめは
足あしを滑すべらせてしまい、そのまま川かわに落おちてしまいました。さあ、大変た
いへんです。見みていた人ひとが川かわに駆け寄よりましたが、娘むすめはどこへ流な
がされたのか、どこを探さがしても見みつかりません。
それを聞きいた長者ちょうじゃは狼狽うろたえ、通とおりかかった易者えきしゃ [1] に娘
むすめの居場所いばしょを占うらなわせる [2] と、「板いたぎれに捉つかまって、少すこ
し向むこうの深ふかみに浮ういておる」と、教おしえてくれました。
おかげで娘むすめは見みつかりましたが、川かわは大変たいへんな大水おおみずなの
で、飛とび込こんでいって助たすける事ことができません。そこへ、目めの見みえない
男がやってきて、「わたくしがお助たすけしましょう。縄なわを用意よういしてくださ
れ」と、自分じぶんの体からだに縄なわをつけて川かわに飛とび込こむと、何なんとか
娘むすめを引ひきあげてくれました。
でも、娘むすめはひどく弱よわっていて、今いまにも死しんでしまいそうです。と、今
度こんどはそこに医者いしゃが駆かけつけ、ありったけ [3] の手当てあてをして [4] くれた
ので、娘むすめはなんとか命いのちを取とり留とめる [5] ことができました。
助たすけてくれた三人さんにんに感謝かんしゃした長者ちょうじゃは、お礼れいに娘む
すめを嫁よめにやることにしましたが、娘むすめは一人ひとりなのに、助たすけてくれ
たのは三人さんにんです。易者えきしゃと目めのみえない男おとこと医者いしゃの、だ
れに娘むすめをやるか迷まよいました。三人さんにんとも命いのちの恩人おんじんです
し、三人さんにんとも娘むすめを嫁よめにほしいと言いいます。
「はて、どうしたものかのう」困こまった長者ちょうじゃは、名めい裁さばき [6] で有名
ゆうめいな大岡越前守おおおかえちぜんのかみに頼たのむことにしました。「どうか、
大岡おおおかさまに娘むすめの婿むこを選えらんでいただきたい。三人さんにんのう
ち、誰だれが娘むすめを一番幸いちばんしあわせに出来できるか、大岡おおおかさまの
名裁めいさばきをお願ねがいいたします。」「…うむむ」数々かずかずの難問なんもん
を解決かいけつしてきた越前守えちぜんのかみですが、この時ときばかりはさすがに困
こまってしまいました。「まあ、三日待みっかまってくれ。」とりあえず、その日ひは
長者ちょうじゃを帰かえらせて、それから三日間みっかかん、夜よるも寝ねないで考か
んがえましたが、よい知恵ちえが浮うかびません。
三日経みっかたって、再ふたたび長者ちょうじゃがやってきましたが、「あと、二日ふ
つかまて」と、日ひを延のばしてもらいました。そして、ある滝たきの近ちかくへ気晴
きばらしに出でかけることにしたのです。「ふう、困こまった困こまった。厄介やっか
いなことを引ひき受うけてしまった。」岩いわに腰こしを下おろして、ボンヤリと滝た
きを眺ながめていると、ふと、話はなし声ごえが聞きこえてきます。実じつは岩いわの
下もとに洞穴どうけつがあって、そこを山賊さんぞくが隠かくれ家がにしているのでし
た。
耳 みみを澄 すませてみると、なんと、今回 こんかいの裁 さばきについて話 はなしをし
ているではありませんか 。「大岡おおおかさまでも、あの裁さばきはつけられんとは、
気きの毒どくな事ことじゃ。」「おい、貴様きさまなら、どうする?」「決きまってお
る。わしなら、長者 ちょうじゃの娘婿 むすめむこには、易者 えきしゃや医者 いしゃで
はなしに、目 めの見 みえん男 おとこじゃ 。」「ほほう。どうして、そう決きめられる
のだ?」「分わからんのか?昔むかしから、『たとえ火ひの中なか、水みずの中』とい
う言葉ことばがあるじゃろうが。易者えきしゃが占うらないをするのは当あたり前ま
え。医者いしゃが人ひとを助たすけるのは当あたり前まえ。それに比くらべて目めの見
みえん男おとこは、本当ほんとうに水みずの中なかを潜くぐって娘むすめを助たすけた
んじゃ。目めの見みえん男おとこが娘むすめを一番幸いちばんしあわせにする決きまっ
ておる。」
越前守えちぜんのかみは山賊さんぞくの言葉ことばになるほどと感心かんしんして、目
めの見みえない男おとこを長者ちょうじゃの娘婿むすめむこに決きめたということで
す。「うむ、これにて、一件落着いっけんらくちゃく!」
[1] 「易者」,名词。算卦先生,卜者。
[2] 「占う」,动词。算命,占卜,占卦。
[3] 「ありったけ」,名词。全部,一切。
[4] 「手当てをする」,治疗。
[5] 「命をとりとめる」,保住一条命。
[6] 「裁き」,名词。裁判,审判。
很 久以前,有一位富翁,家有一位待字闺中的女儿。有一天,这位姑娘由于家里有事来到
了河边。因近来一直下大雨,河水涨得很高。
姑娘心想:“哎呀,真恐怖啊,要小心点……”可姑娘真是不走运,竟然脚底一滑,掉进河
里去了。哎呀,这可糟糕了!看见姑娘落水的人赶忙跑到河边,但却怎么也找不到姑娘的
下落。
听到这个消息,富翁惊慌失措,急忙问路过的巫师,让他占卜一下女儿的下落。巫师告诉
他:“她抓住了一块木板,现正漂到对面深一点儿的地方。”
果然,富翁找到了女儿,但是,因为河水太湍急了,没办法跳下去救她。就在这时,来了
一位盲人,对富翁说:“我来救她吧。请给我准备一条绳子。”说着,把自己的身体绑在身
体上,飞身一跃跳入河中,终于把姑娘拉上岸来。
但是,姑娘已经非常虚弱,好像马上就要死了。这时来了个医生,他用尽一切的方法,全
力救治姑娘,终于帮这位姑娘捡回了一条命。
为了感谢三个人对女儿的救命之恩,富翁准备把女儿嫁给他们。但是,女儿只有一个,救
命恩人却有三个。巫师、盲人和医生,到底把女儿嫁给谁好呢?三个人都是救命恩人,而
且三个人都想娶女儿,这可如何是好?
富翁为此伤透了脑筋,就去找著名的善于断案的大冈越前守,请他帮忙出主意。富翁
说:“大冈大人,请一定要帮我女儿选个好夫婿。请问,这三个人里面,谁最能让我女儿幸
福呢?请您帮我判断一下吧。”越前守虽断过无数困难的案子,面对这个棘手的问题,也显
得十分苦恼。“嗯,不好办啊。请给我三天时间吧。”他说。说完,他先让富翁回家,自己
不眠不休地想了三天,也没想出什么好点子。
过了三天,富翁又来了。“请再给我两天时间吧。”越前守向富翁说,又把日期延后了两
天。然后,他就去一个瀑布边散散心。正当他坐到瀑布边的岩石上时,不经意间听到有人
在说话:“嗯!这可不好办呐。这回他可接手了一个棘手的问题啊。”原来,岩石下面有个
洞穴,山贼把这里弄成一个隐蔽的住所。
越前守侧耳细听,原来,他们正在讨论这次关于被救姑娘选婿的案子。“大冈大人也被搅和
到这个难题里面啦。真是可怜啊!”“喂!要是你的话,你会怎么判呢?”“那不是明摆着的
嘛。要是我的话,我肯定不判巫师或是医生,而是判盲人当富翁的女婿啦。”“噢?这又是
为什么呢?”“这你还不明白吗?俗话不是说:‘救人于水火之中’嘛。巫师为人占卜,这是他
的工作。医生救治他人,也是他的本职。而相比之下,盲人没有救人的义务,他却奋不顾
身跳入水里救起了那姑娘。所以说啊,盲人才是能让那姑娘最幸福的人啊!”
越前守听到山贼这一席话,茅塞顿开,决定判盲人给富翁当女婿。“嗯!我又圆满地解决了
一桩案子。”越前守满意地说道。
语法详解
(1)なんと+用言の終止形/体言+ではないか
表示感叹或惊讶。相当于“多么……啊”“多么……呀”。
* なんと雄大な橋ではないか。
真是一座雄伟的大桥啊。
* なんと顔色がちっとも変えないではないか。
脸色真是一点儿也不变啊。
* 月日の経つのはなんと矢のように早いではありませんか。
真是光阴似箭啊。
(2)体言+なしに
表示在未做或未发生前项的状态下来做后项,意思与「ないで」「ずに」
相近,用于书面语。口语用「ないで」。
* 小野さんは親に相談なしに、自分の進路を決めてしまった。
小野没和父母商量,就决定了自己的出路。
* 先生は忙しい人だから、約束なしに人と会ったりしないでしょう。
老师是个大忙人,所以不预约就不见人吧。
小知识
易者
筮竹(ぜいちく)と算木でそこにあらわれた卦(け)を見る易占をし,
顧客から報酬を得ることを専業とするもの。易は中国古代の占術で日本
にも早く伝えられ,古代の平城京にすでに相八卦読のいたようすが《日
本霊異記》にみられる。庶民の間にまで盛んに広まったのは、江戸時代
の頃である。道路上に店を出して、占いをする人は「大道易者」と言わ
れる。「易者身の上知らず」ということわざがあり、「易者は他人の運
勢は占うが、自分のこととなるとわからない。自分のことには正しい判
断ができない」ということのたとえとして使われる。
巫师
是通过由筮签和算木摆出的卦象进行占卜而获取顾客报酬的职业。据《日
本灵异记》记载,易术是中国古代的占卜术,很早就传入日本,在古代的
平城京就有帮人解读八卦象的人。易术普及到民间是在江户时代左右。在
路上摆出摊子,为来往行人占卜的人叫“大道易者”。日语中有“占卜者难知
自身命运”的谚语,指占卜者可以占卜他人的运势,却无法得知自己的将
来,用来形容人无法对自己的事情做出正确的判断。