大歩危(おおぼけ) (徳島県三好市)
「歩」くのに、とても「危」険な谷だった
四国·徳島県を流れる吉野川中流に位置する渓谷が、「大歩危」である。ここは景勝地として名高い場所で、その変化に富んだ景観を遊覧船から楽しむ観光客も多い。また、夏には多くのラフティング愛好者も訪れる。
数キロ下流の「小こ歩ぼ危け」とともに、大歩危?小歩危としてひと括くくりにされることも多いようだ。
一般に、大歩危は「大股で急いで歩くと危険」なために、そう呼ばれるようになったといわれる。
同じく小歩危は「小股でゆっくり歩いても危険」なため、そう呼ばれるようになったという。
ちょっと強引な解釈にも思えるが、大歩危が、大股で急いで歩くと危険なほど険しい渓谷なのはたしかであろう。だとすれば、十分に納得できる由来といえるかもしれない。
ところで、「大歩危」の「歩危」という漢字の語源は、山の崩れ、崩壊地を意味する古語の「ほき」「ほけ」に由来すると考えられている。
そこで、「歩危」という漢字をあてたのかもしれない。
ただし、昔から大歩危という漢字をあてていたわけではなく、かつては「大嶂」という字が用いられていたようだ。また、明治時代の地租改正の際には、「大歩怪」の字をあてていたという記録も残っている。