日光(につこう)(栃木県日光市)
「二荒ふたら」を弘法大師が「にこう」と読んで改名 栃木県日光市は、二荒ふたら山さん神社、東照宮、輪りん王のう寺じの建造物とその境内地からなる「日光の社寺」が世界遺産に登録されるなど、日本が世界に誇る観光地として発展してきた。国宝、重要文化財の建造物とそれをとりまく自然環境が、いまもなお、数多くの観光客を魅了している。
ところで、この「日光」という地名の由来には諸説あるが、なかでもよく知られているのが弘法大師空海にまつわるエピソードだ。もともとこの地域は「二荒」という名前で呼ばれていたが、あるとき空海が二荒山(男なん体たい山さん)に登った際に、「二荒の文字がよくない」というのでこれを「にこう」と音読し、それに「日光」の字をあてて改名したとされる。
ちなみに、もともとの「二荒」という地名の起源がどこにあるのかといえば、これについてもいくつかの説がある。
観かん音のん菩ぼ薩さつの浄じよう土どを「補ふ陀だ洛らく山せん」ということから、「二荒山」と呼ばれるようになったとする説。日光の山に熊笹が多いことから、アイヌ語で熊笹をあらわす「フトラ」が変化したとする説。男体山と女によ峰ほう山さんの男女二神があらわれたので「ふたあらわれの山」となり、それが二荒山になったとする説。男体山麓の屏びよう風ぶ岩に大きな洞穴があり、この穴に風の神と雷獣がすんでいて、雷を起こしたり豪雨を降らせたりして、日光一帯を荒らしたことから二荒山という名ができたとする説。このように、じつに多くの説が存在しているのである。
なお、これら以外にもいくつかの説があるが、真相はいまだに確定していないというのが実情のようだ。