途中(とちゆう) (滋賀県大津市)
ちょうど「中ほど」に位置することから名付けられた 全国には、ユニークな地名で知られるところも少なくないが、京都から滋賀へ向かう道中には途中峠という場所がある。京都の大原から若狭へ向かう若狭街道(現在の国道三六七号線)の要所で、山やま城しろ越ごえ、竜りゆう華げ越ごえとも呼ばれた。
ここは平安時代以来、京都から東国や北国へ行く間道として知られ、現在では若狭小浜や湖西、敦賀への近道としても使われている。
そして、その峠を越えると「途中」という集落がある。古くから農業のほか、炭焼き、木材生産などを営んできた。上かみ竜華との境近くにある集落の鎮守?還もどろ来き神社は、第二次世界大戦中には、出征者の無事を願う参詣者が各地から訪れたという。なお、現在ここは、滋賀県大津市伊い香か立だち途中町となっている。
ところで、この「途中」という地名については、相そう応おう和尚が明みよう王おう院いんを開く際に、葛かつら川がわ谷だにと無む動どう寺じ谷だにのちょうど「中ほど」に位置することからそう名付けられたという説があるが、ストレートといえば、これほどストレートな名付け方はないだろう。
そのほか、この地に栃の木が生えていたことから「栃生」と呼ばれていて、それが転てん訛かして「途中」になったとする説もあるようだ。