お台場（おだいば） （東京都港区）
お台場の「お」は、いったい誰に敬意を払っているのか？
いまや東京を代表するレジャースポットであり、ショッピングにデートにと人を集めているお台場は、ウォーターフロント再開発で発展した町である。
だが、そのイメージとは裏腹に、以前ここは、その「台場」という名前のとおり、大砲を置く砲台のあった場所だった。
一八五三（嘉永六）年、アメリカのペリー総督の来航により、幕府は外国船の襲来に備える重要性に気付く。こうして、江戸防衛のため、湾岸に海に向けた大砲が据えられることになったのである。
この当時、幕府に由来するもの、幕府の直轄地などには敬称の「御」を付ける習慣があった。そこで「台場」に「御」が付き「お台場」と呼ばれることになったのである。
当初は、砲台を一一基設置する予定で建設がはじまった台場だったが、完成したのは五基のみだった。現在はそのうちの第三、第六の両台場が国指定の史跡となって残され、第三台場は「台場海浜公園」になっている。
なお、第一、第五台場は品川埠ふ頭とうに埋設されて跡形もなくなり、第二台場は東京湾の航路と重なるために撤去された。
そして、未完成のままで終わった第四台場は、現在の天てん王のう洲ずアイル付近の地形や石垣にその痕跡を見ることができるのみである。
