宝塚（たからづか） （兵庫県宝塚市）
ものを拾ったら幸せになるという古墳がその名の由来
「宝塚」といえば、少女歌劇発祥の地であり、その大劇場があるほか、劇場を中心として家族向けの遊園地も設けられ、そのなかには天然温泉もあったという、まさにレジャー的なイメージの地区という印象が強い。
また、その半面で大阪市内へ通勤する人たちの住宅地も広がっているというユニークな郊外都市でもある。
そして、この地名は、当地のレジャー施設を生むきっかけとなった温泉施設設置のときに付けられたものだ。一八八七（明治二十）年のことである。
何かいい名前をと探しているときに見つけたのが、一七〇一（元禄十四）年、岡田渓志の著した『摂せつ陽よう群ぐん談だん』という書物だった。
そのなかには、この地には「ものを拾ったら幸せになる宝塚という古墳がある」という記述があった。
これは土地ゆかりの説であり、宝塚という名前も縁起がいい。そこで、その温泉施設は、宝塚温泉と命名されたのである。
ただ、温泉があるだけでは、近くに有馬温泉という人気の温泉地もあるので、集客には結び付かない。
そこで宝塚温泉まで鉄道を走らせていた現在の阪急電鉄が、集客の目玉に少女歌劇のショーを発案した。それが、温泉よりも宝塚の地名を高めることになったのである。
