崇徳院に百首歌たてまつりける時
34 朝霞深く見ゆるやけぶり立つ室の八島のわたりなるらむ\藤原清輔朝臣
【通釈】
34 朝霞が深く立ちこめていると見えるのは、水煙が立ち昇る室の八島のあたりであろうか。○崇徳院に百首歌 久安六年(一一五〇)百首。○室の八島 下野国の歌枕。現在の栃木県栃木市惣社町にあった国府の近辺か。野中の清水から水気が煙のように立ち昇ると考えられていた。▽「煙かと室の八島を見しほどにやがても空の霞みぬるかな」(千載·春上·源俊頼)。