因ノ島(いんのしま) (広島県因島市)
隠れていて、よく見えなかった隠の島
広島県因島市。「因ノ島」とも表記されるが、その昔、八七八(元がん慶ぎよう二)年には「隠島」と記されていた。
その名の由来と深く関わりがある、有力な三つの説をここで紹介しよう。
神じん功ぐう皇后がこの島に立ち寄ったときに、一晩中犬が鳴いていたので「犬島」院の荘園があったので「院島」
尾おの道みち方面から、この島を見ようとすると、向島むかい・岩子島・細島に隠れてしまってよく見えないので「隠島」
たしかに、 の地理的条件はもっともで、実際に昔はそう表記されていたというのだから、「隠れている島」という意味において、その名で呼ばれるようになったのは間違いないだろう。
ちなみに、ここ因島は、室町時代から戦国時代にかけて名を馳せた「村上水軍」の地で、水軍城がある。水軍時代の航海術や造船技術を活かし、江戸期は海運、明治に入ってからは造船で大いに栄えていたという。