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日语能力考试一级阅读精选问题集(35)
日期:2012-11-26 09:43  点击:642

 記憶は脳の大切な動きである。もし、「昔のことを覚えている」という心の動きや、それを支える脳の仕組みがなくなってしまうと、私たちは永遠に「現在」にとじこめられてしまう。生まれ落ちてから死ぬまで、(注1)折に触れ人生を振り返ってそれを愛おしむこともできなくなってします。記憶という脳の働きがあるからこそ、①私たちは人間らしい生を享受することができるのである。

記憶を支える脳の働きについては、現在、盛んに研究されている。記憶が最終的に蓄えられる大脳皮質の側頭葉、それを支える海馬といった領域の仕組みが、徐々に明らかにされてきている。一日のうちに体験することは膨大だが、なぜそのうちの一部分だけが記憶され、他のものは忘れられてしまうのか。無意識のうちに書き込むべき記憶を選別している、脳の情動系の働きも明らかになってきている。

また、記憶は、過去を振り返るだけではなく、未来に何が起こるかを予想することや、新しいものを生み出す「創造性」の働きとも関係している。実際、未来を予想するときに活動する脳の領域は、過去を思い出す際に働く脳の領域に近いことが知られているし、創造する際には、思い出すときと同じように②「何かを知っている」という感覚が先導役になると言われる。「( ③ )ことは思い出すことに似ている」と断言する世界的数学者もいるほどである。

インターネット上にさまざまな情報が飛び交う現代において、自ら過去に体験したことを思い出すことは、ますます大切になってきているのではないか。情報は、単に外からやってくるだけではなく、自らの中から掘り起こすものでもある。無意識の深層に眠っていて、長い間思い出すことのなかった記憶を想起し、揺り動かし、溶かしているうちに、次第に何かが立ち上がってくる。( ④ )。

人間は現代に生きる存在であるとともに、過去をもう一度生き直すこともできる存在である。とりわけ、戦争や災害、事件といった、人類・社会に大きな影響を与えるできごとについては、折に触れ思い出し、記憶を新たにしていく必要があるのではないか。「あのときあんなことがあった」という生き生きとした(注2)エピソード記憶を心の中でよみがえらせることができるのは、人間だけ天が与えた特別な能力らしい。もちろん人間にとっては( ⑤ )ことが(注3)福音である場合もあるが、私は⑥「思い出す」という人間の特権をむしろ大切にしたいと思う。人間は今をよりよく生きていくためにも、過去を振り返り、その過去から教訓を学ぶこともできる存在なのである。

(茂木健一郎『脳の中の人生』)

注1 折り触れ:機会があるごとに。
注2 エピソード:物語や事件の本筋の間に挿入する小話。挿話。
注3 福音:心の救いになること。

問1 ①「私たちは人間らしい生を享受することができるのである」とあるが、ここで筆者が「人間らしい生の享受」と考えていることは何か。

1 辛い過去を忘れることができること。
2 人生を振り返ってそれを愛おしむこと。
3 「現在」の一瞬一瞬を大切に生きていくこと。
4 未来の夢の実現に向けて生きていくこと。

問2 ②「「何かを知っている」という感覚が先導役になると言われる。」とあるが、その内容の説明として適当なものはどれか。

1 新しいものを生み出すには、過去の失敗の体験からいかに学ぶが大切である。
2 過去を振り返るだけではなく、未来に何が起こるかを予想すること。
3 何かを創造するとき、人は先ず自分の記憶の中にその糸口を探ろうすること。
4 人間の創造力というのは、普段は人が忘れている古い記憶の中潜んでいる。

問3 ( ③ )に入る語はどれか。

1 創造する 2 予想する 3 記憶する 4 想像する

問4 ( ④ )にはどの文が入るか。

1 懐かしさがこみ上げてくる
2 新しいものを生み出す力が沸いてくる
3 未来の何かが見えてくる
4 昔の時間がよみがえってくる

問5 ( ⑤ )に入る語はどれか。

1 記憶を新たにする
2 過去を忘れる
3 過去を愛おしむ
4 未来を夢見る

問6 ⑥「「思い出す」という人間の特権をむしろ大切にしたいと思う。」とあるが、筆者が言いたいことは何か。

1 記憶を心の中でよみがえらせることができるのは、人間だけが持つ特別なものなので、大切にしてほしい。
2 折に触れて人生を振り返って、それを愛おしむ、そんなゆとりのある人間らしい生活をしてほしい。
3 過去を愛おしむだけでなく、今をよりよく生きるためにも、過去を振り返り、そこから教訓を得ることが大切だ。
4 過去の記憶を呼び起こすことこそ、新しいものを生み出す「創造性」の源となるのであり、「思い出す」ことを大切にしてほしい。

解説:

 

1 選択肢の中から「記憶という脳の働き」にかかわるものを選ぶと、1と2が残るが、「生の享受」となると、1は消えることになる。

2 何の先導役かを先ず考える。すると、文脈から「創造の先導役」とわかる。そこから、「創造」と無関係な1と2が除外され、3と4が残る。しかし、〈「何かを知っている」という感覚〉というのは、「創造」の糸口を記憶の中をから探ることなので、3が残ることになる。

問3 前の文の内容とのつながりから考えると、〈創造する――思い出す〉のセットが浮き上がる。

問4 昔の記憶を思い出したときに生ずることは、1と4になるが、この段落のポイントは「情報は......自らの中から掘り起こすものでもある。」点にあることを考えると、1の懐かしさという感情よりも、4の「昔の時間=日々」」の出来事の方が適切になる。

問5 「福音」というのは心の救いという意味なので、「忘れる」がぴったりとなる。なお、ここでは「忘れる」と「思い出す」が対語としても用いられている。

問6 「思い出す」ことはなぜ大切なのか、2も間違いではないのだが、筆者は段落、またすぐ後ろの文で、「思い出す」ことのもう一つの意義を述べている。


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