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逆タマを断った貧乏学者
日期:2015-10-24 14:02  点击:439
 江戸時代の豪商の一人に河村瑞賢(かわむらずいけん)という人がいます。海運・治水の功労者でもあり、「東廻り航路」と「西廻り航路」を開いたことで有名です。その瑞賢に娘がいました。瑞賢はこの娘に、全財産をつぎ込んででも、立派な婿を迎えてやろうと考えていました。そして、あらゆる人脈を駆使して“立派な婿”を捜しました。
 
 瑞賢にとって“立派な婿”とは、何より学問のできる男でした。お金はいくらでもありますから、金持ちである必要などありません。そして、一人の若い貧乏学者が目にとまりました。さっそく会って、お金に糸目をつけない好条件を提示して婿入りを要請しました。相手にとっては夢のような条件ですから、一もニもなく受け容れるだろうと瑞賢は確信していました。
 
 ところが、その学者は申し出をあっさり断ってきたのです。娘を気に入らなかったというわけではない。「自分はこれまで、自分の力でがんばってきた。しかし、ここで“逆タマ”に乗ってしまうと、そのおかげで出世したと言われてしまう。それがイヤだ」というのです。瑞賢はたいそう残念がり、何度も説得を試みますが、結局はあきらめざるを得ませんでした。その若い貧乏学者こそ、後の新井白石だったのであります。

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