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「私の父は、かっこ悪い」
日期:2017-09-06 10:59  点击:721
デパートで試食を貰えば、何度も落っことして何回も貰いなおして、
ファミレスでトイレに行けば、間違えて隣のテーブルに座ったりして、
吃音症持ちだから、何度も何度も同じ言葉繰り返したりして。
小さいころから、そんなかっこ悪い父が苦手だった。
私の父は、つまらない。
流行りおもちゃもマンガも知らなくて、
ジョークも言わないし滅多に笑わなくて、
しつけに厳しくて、ベランダに放り投げられたりして。
中学生になったころには、父と顔も会わせなくなっていた。
私と父は、さよならをした。
高校になって、私は母に連れられて家を出た。
狭い部屋に一人でいる日々が続いた。
なんだか無性に父に会いたくなった。
いつも整髪料とタバコの臭いがして、水虫の足が汚くて、
良い所なんか1つもなかったはずなのに。
それでも、思い出す景色はたくさんある。
動物園で肩車してくれたこと。
魚釣りに連れてってくれたこと。
コタツで一緒にお昼寝したこと。
会社から帰ってきて、一人でさみしく晩ごはんを食べていた背中。
お家を出ていく日に、泣くのをこらえていた、しわしわの顔。
私と父は、再会した。
ちゃんと顔を見て話すのが久しぶりで、恥ずかしかった。
父も恥ずかしそうだった。
私は少し太ったのに、父は少し痩せていた。
「元気か」なんて聞くから、なんか涙が出た。
私と父は、たくさん後悔した。
なんであの時もっと素直になれなかったのだろう。
なんであの時もっと優しくできなかったのだろう。
なんであの時、ごめんと言えなかったのだろう。
たくさんたくさん、なんでなんでと後悔して、それから。
私と父は、スタートラインに立った。
過去のやり直しはできないから、ここから始めようと決めた。
過去は水には流れないから、ここから今を作っていこうと決めた。
そうして、たくさんの私と父でありたいと、思った。
私の父は、かっこ悪いし、私の父は、つまらない。
それでも、私は父が、大好き。

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