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さすらいの女王01
日期:2020-10-22 17:16  点击:244
巨乳で迎える正月
 
 気分一新、タイトルもレイアウトも文字の大きさもリニューアルした女王様のお部屋である。新タイトルは「さすらいの女王」、しかし内容は旧態依然……ということになったら申し訳ないが、書いている人間が同一人物なのだから、こればかりは如何ともしようがないではないか。急にキャラを変えられるなら、私もこんな人生歩んでないよ。
 さて。それでも新装開店なのであるから、いちおう女王様も、気分だけはどことなくフレッシュなのである。この原稿を書いているのは、じつは豊胸手術を四日後に控えた十二月十五日(二〇〇四年)なのであるが、掲載される頃にはめでたくDカップくらいの巨乳(当社比)となっているのであろうと想像すると、嫌でもフレッシュな気分になるではないか。巨乳で迎える正月……すごいわ、四十五年の人生で、そんな正月、初めてだわ。ちなみに元日早々、女王様は作家の岩井志麻子嬢とともに『おすぎの美食倶楽部』というテレビ番組に出演する予定であるが、その収録は手術前なので、「貧乳女王の最後の映像」をご覧になりたい方は、どうぞ。
 振り返れば、二〇〇二年の秋に顔面にメスを入れ、プチ整形から初めての本格整形を体験するにいたってから約一年後、まさか自分がオッパイにシリコンパックを入れようとは思いも寄らなかった。「次はオッパイだね」なんて口では言ってたけど、あくまで冗談のつもりだったのである。オッパイが欲しいなんて、それほど切実に願ったことは若い頃から一度もない。あるといいなぁ、という程度の漠然とした願望であったのだ。が、四十五歳の女王様は、リスクを冒してまで豊胸しようとしている。若い頃ならともかく、今さらオッパイが大きくなったからって、何の得があるだろうか? べつに喜んでくれる男もいないのに。
 で、思うのだが、もしかすると女王様が二十代だったら、どんなチャンスが到来しても「豊胸手術」に踏み切ることはなかったのではないか。この年だからこそ、「年々、忍び寄る老い」への恐怖と「女としての賞味期限切れ」という過酷な現実からの逃避のためにオッパイなんぞを欲しがっているのだ、という気がする。間違いなく、「他者へのアピール」よりも「自己確認」的な要素が強いのだ。こんなことをやったら男にモテるなんて、さすがのバカ女王様も本気で思っちゃいない。どうせ「綺麗な胸ですね。ドキドキしちゃう」なんてお世辞を言われたところで「そーですか? これ、整形ですよ」などと答えて相手が退《ひ》くのを楽しむに違いないので、もうハナから男に相手にされたいなどと思っての整形ではないのである。じゃあ、なんのための整形かというと「胸の大きいあたし」を「あたし」が楽しむための整形なのだ。すべては、自分のために。我が愚かしきナルシシズムのために。
 とめどなくほとばしるナルシシズムの欲求と、自己確認の欲望……それに踊らされる自分がいったいどこまで行くのか、いつになったら女王様の流浪の道行きは終焉《しゆうえん》するのか。これが、「さすらいの女王」という看板で新装開店したこのコラムのテーマである。
 民よ、さすらい続ける女王様を、これからもよろしくお願いいたします。

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05/04 05:29