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ろうそくと貝がら(2)
日期:2023-08-31 11:21  点击:226


父親ちちおや行方ゆくえがわからなくなってから、二人ふたりは、毎晩まいばん仏壇ぶつだん燈火ともしびをあげておがみました。
「おっかさん、そとはたいへんなかぜですね。おとっさんが、今夜こんやあたりかえっておいでなさるなら、おきれてくらでどんなにおこまりでしょうね。」と、むすめはいいました。
「そんなことはないよ。こんなばんにどうしておとっさんが、あのふねかえっておいでなさるものか。そんなことをかんがえないほうがいいよ。」と、母親ははおやこたえました。
「だって、かえっておいでなさるかもしれないわ。わたしは、おとっさんが見当けんとうのつくように、ろうそくのともしてあげるわ。」と、むすめはいって、まどぎわに幾本いくほんとなく、ろうそくにをつけてならべました。
なにしろかぜつよいので、ろうそくのいくたびとなくされました。けれど、むすめえると、け、えるとけして、おきから、とおりく燈火ともしびえるようにと、熱心ねっしんにろうそくのとぼしていたのであります。
むすめは、ついにうちにありったけのろうそくをやしつくしてしまいました。もはや、このうえは、とおはなれたまちにまでいってってこなければ、けるろうそくはなかったのであります。
「おまえのこころざしは、よくおとっさんにとどいたとおもいます。もうろうそくがなくなったから、さあやすみましょう。」と、母親ははおやはいいました。
も、いつしかけていました。むすめもしかたがないとかんがえて、二人ふたりめてとこはいろうとしました。
そのとき、だれかをたたくようなけはいがしました。
「だれかきたようだ。」と、母親ははおやはいいました。
「ほんとうに、だれかをたたくようですね。いま時分じぶんだれだろう。きっと、おとっさんがかえっていらっしたのですよ。」と、むすめいさんで、さっそく、戸口とぐちのところへはしっていきました。
「おとっさんですか。」と、むすめさけびました。けれど、そとひと返答へんとうをしませんでした。
「どなた。」といいながら、むすめけました。すると、くろ装束しょうぞくをしたたかい、らぬおとこっていました。むすめはびっくりして、あとずさりをしました。くろ装束しょうぞくおとこは、いえなかはいってきました。
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05/19 06:45