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恶灵物语(4)

时间: 2021-08-26    进入日语论坛
核心提示:「これは、わたしの手に石膏をぬって、女型をとったのです。全身をとるのも、りくつは同じですよ」「では、ほんとうの人間からと
(单词翻译:双击或拖选)

「これは、わたしの手に石膏をぬって、女型をとったのです。全身をとるのも、りくつは同じですよ」
「では、ほんとうの人間からとった全身人形も造ったことがあるのですね」
「ありますとも、画家がモデルを使うように、人形師もモデルを使うのです。モデルはドロドロの石膏にうずまるのですから、あまり気持がよくありませんがね。顔をとるときは、鼻の穴にゴム管を通して、息ができるようにしておくのです。たいていの娘はいやがりますが、なかには、石膏にとじこめられ、抱きしめられるような気持が好きだといって、進んでモデルになる娘もいますよ」
 伴天連爺さんは、歯の抜けた口をあけて、ニヤニヤと笑った。
「そのアトリエを見せていただきたいものですね」
「むろん、お見せしますよ。では、これをすっかり飲んでから、アトリエへ行きましょう、今晩はうすら寒いですから、からだをあたためてからね」
 老人はそういって、グラスを取りあげ、グッとのみほした。蘭堂もそれにならった。強い酒が腹にしみわたって、からだがほてってくるようであった。
 老人は机の上の燭台を持って、先に立った。そのとき、蝋燭の光の加減で、机の上にほうり出してある蝋製の手首が少し動いたように見えた。それから、まっ暗な廊下を三(げん)ほど行ったところで、老人は何かカチカチ云わせている。ポケットから取り出した鍵でドアをあけようとしているのだ。
「このあいだ電燈会社と喧嘩(けんか)をしてしまいましてね、電燈がつかないのです。少々暗いが、我慢して下さい。もっとも、わたしは夜は仕事をしませんから、電燈がなくても、べつに差支(さしつか)えありませんがね」
 弁解をしているうちに、ドアがひらくと、彼は燭台をヌッとこちらへさし出して、しばらく、じっと蘭堂の顔を見つめていた。
「びっくりしてはいけませんよ。なにしろ蝋人形というやつは、ちょっと気味のわるいものですからね」
 警告するように云って、部屋の中へはいって行った。蘭堂は年甲斐もなく、少し(こわ)くなって来たが、それがまた、たまらない魅力でもあった。彼はオズオズと老人のあとにつづいた。

妖美人


 燭台の蝋燭が部屋の中をソロソロと動いて行った。その光の中へ、何もない(ゆか)や、粘土のかたまりや、彫刻用のコテや、石膏のかけらや、いろいろのガラクタが、次々と現われては消えて行く。そして、ピッタリ光が動かなくなった。そこに異様な物体が横たわっていた。大きなものであった。
「これ、なんですか」
 気味がわるくて、黙っていられなかった。
「よくごらんなさい。死骸(しがい)ですよ。断末魔(だんまつま)です。知死期(ちしご)です。わたしの自慢の作品ですよ」

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