炙(あぶ)り肉の怪
宋の文帝のとき、王徽之(おうきし)は交州の刺史を拝命して赴任する途中、宿に客が訪ねてきたので、酒と炙り肉をとりよせた。
ところが、その肉がかたく、いくら切ろうとしても切れないので、王徽之は腹を立てて床(ゆか)へ投げ捨てた。すると肉はたちまち王徽之自身の首に変った。
「この妖怪め!」
と剣を抜いて斬りつけようとすると、首は空中へ浮かびあがって、消えてしまった。
それきりでなにごともなかったが、王徽之は任地の交州に着くと間もなく死んでしまった。
六朝『異苑』






