垂涎(すいぜん)
笑府
ある男、死んで閻魔大王の前に引き出されたとき、
「わたくしは一生精進(しようじん)を守ってまいりましたので、どうかもういちど人間に生れかわらせてくださいませ」
とたのんだ。すると大王は、
「係りの者に調べさせよう」
といい、そして鬼卒に、
「この者の腹を裂いて、中身を調べてみろ」
と命じた。鬼卒が男の腹を裂いてみると、中身は唾(つば)と涎(よだれ)ばかりだった。






