耳掻(か)きと盥(たらい)
笑林広記
夜中に女房が亭主にいった。
「盥の中で足を洗ったら、気持がいいのは盥の方かしら、それとも足の方かしら」
すると亭主がいった。
「足の方だろうな。ところで、耳掻きで耳をほじくったら、気持がいいのは耳掻きの方だろうか、それとも耳の穴の方だろうか」
「耳の穴の方ね」
二人はくつくつ笑いながら、やがて一儀をはじめた。
すると壁隣りの男が、つぶやいた。
「耳掻きが盥の中に落ちたのなら、どっちも気持よくはなかろう」






