七六 長者屋敷は昔時長者の住みたりし址《あと》なりとて、そのあたりにも糠《ぬか》森《もり》といふ山あり。長者の家の糠を捨てたるがなれるなりといふ。この山中には五つ葉のうつ木《ぎ》ありて、その下に黄金を埋めてありとて、今もそのうつぎの有《あり》処《か》を求めあるく者稀々にあり。この長者は昔の金山師なりしならんか、このあたりには鉄を吹きたる滓《かす》あり。恩《おん》徳《どく》の金山もこれより山続きにて遠からず。
遠野物語76
日期:2019-08-25 10:41 点击:312






