六一 青笹村の菊池某という人の家に、土で作った六寸ばかりの阿弥陀様が、常に煤《すす》けて仏壇の上に祀られてあった。ある夜この家の老人熟睡していると、夢であったかその仏様が、つかつかと枕元まで歩んで来て、火事だ早く起きろと言われた。驚いて目を覚ましてみると竈《かまど》の口の柴に火がついて、家の内は昼間のようであった。急いで家の者を皆起こして、火は無事に消し止めたという。これは今から十年近く前の話である。
遠野物語拾遺61
日期:2019-08-25 13:47 点击:298






