一〇七 下《しも》閉《へ》伊《い》郡の山田町へ、関口という沢から毎市日のように出て来ては、いろいろな物を買って戻る男があった。顔じゅうに鬚《ひげ》が濃く、眼色が変わっているので、町の人はあれはただの人間ではあるまいと言って、殺して山田湾内の大島に埋めた。そのゆえであったか、その年からたいへんな不漁が続いたという。これは山田町へ駄賃づけに通うていた、土淵村の虎爺という老人の若かった頃の話である。
遠野物語拾遺107
日期:2019-08-26 13:59 点击:293






