一七三 佐々木君の友人中館某君の家は、祖父の代まで遠野の殿様の一の家老で、今の御城のいちばん高い処に住んでいた。ある冬の夜、中館君の祖父が御本丸から帰宅すると、どこからどこまで寸分違わぬ姿をした二人の奥方が、玄関へ出迎えに立っておった。いくら見比べてもいずれが本当の奥方か見分けがつかなかったが、家来の者の機転で、そこへ大きな飼犬を連れて来ると、一人の方の奥方は狼狽して逃げ去ったそうな。
遠野物語拾遺173
日期:2019-08-26 18:32 点击:310






