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眼鏡(1)
日期:2022-08-08 23:57  点击:252

眼鏡

小川未明



かずさんが、せてくれたあかかいは、なんといううつくしいいろをしていたでしょう。また、むらさきばんだあおかいも、うみいろが、そのまままったような、めったにたことのないものでありました。
「ねえやが、およめにいくので、おうちかえったのよ。そして、わたしおくってくれたのよ。図画ずが先生せんせいが、ほしいとおっしゃったから、わたしいくつもあげたわ。」と、かずさんが、いいました。正吉しょうきち自分じぶんもほしいとおもったけれど、おくれとくちしてはいいませんでした。かえって、反対はんたいに、
「なあんだい、もっと、もっと、きれいなものをかずちゃんは、っていないだろう?」と、いったのです。かずさんは、ぼんやりと、正吉しょうきちかおをながめて、
「もっときれいなものって、かい? いし? しょうちゃんは、っているの。」と、ききました。
っていないけど、あるよ。」
「ありゃしないわ。」
「あるから。」
「じゃ、せてよ。」と、かずさんは、いいました。
正吉しょうきちは、ただ、なんでも悪口わるくちをいってみたかったのです。なぜなら、自分じぶんうちにいた女中じょちゅうのしげは、およめはなしどころでなく、いつも欲深よくふかげな父親ちちおやがたずねてきては、そとして、おしげがはたらいてもらったおかねを、みんなげていってしまったすえに、無理むりにおしげをよそへやってしまったのでした。それをかんがえると、だれにもいうことなく、はらつのであります。
悪口わるくちをいうから、しょうちゃんにはあげないわ。」
「いるもんか、かずちゃんは、もっと、もっと、きれいなものがあるのをらないだろう。」
このとき、正吉しょうきちは、ほんとうにきれいなものがあるのをおもしたのでした。それで、ほくほくしていると、
「ああわかった、しょうちゃん、おはなでしょう?」
はななもんか。」
しょうちゃんのっているもの?」
「うん、そうだよ。」
「ありゃしないわ。」
かずちゃんは、ほこったように、片足かたあしげて、トン、トンとねました。
「じゃ、きてごらんよ。」
正吉しょうきちさきって、くさむらのなかはいりました。にからんだ、からすうりのまっている、うすあからえました。
「ほら、かずちゃんのかいより、もっときれいだろう。」

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09/21 13:48