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芽は伸びる(2)
日期:2022-08-08 23:57  点击:247
 


せい一は、先生せんせいが、おおきなくわうえへ、かいこを七ひきばかり、のせてわたしてくだされたのをありがたくいただきました。さあこれをどうしてってかえったらいいだろう。かみもなかったので、うえにのせたまま、それをのひらでささえて、そろそろあるいて、学校がっこうもんから一人ひとりたのであります。
うすい、白雲しらくもやぶって、日光にっこうはかっとまち建物たてものらしていました。くるまとおります。自転車じてんしゃはしっていきます。そのあわただしい景色けしきこころうばわれるでもなく、せい一は、ゆっくり、ゆっくり、おかいこを見守みまもりながら、みちあるいてきました。まち人々ひとびとは、なんだろうとおもって、せい一のをのぞくものもありました。
「やあい、おかいこをあんなことしてっていくやあい。」と、わらっている子供こどももありました。いつもなら、十五ふんぐらいでかえれるのに、三十ぷんあまりもかかって、やっともんにはいったのです。
「おかあさんが、いけないといって、しかりはしないかなあ。」と、せい一は、ちょっと心配しんぱいになりました。
せいちゃん、たいそうおそかったですね。」
かあさんは、そうおっしゃいました。
先生せんせいから、おかいこをもらってきたのだよ。」
せい一は、先生せんせいからといったら、おかあさんは、ゆるしてくださりはしないかとおもって、先生せんせいというちかられたのです。
「おかあさんは、はだかむしがきらいなのをっているでしょう。なんでそんなものをもらってきたのですか。」と、おかあさんは、おっしゃいました。
生糸きいとは、日本にっぽん大事だいじ産業さんぎょうだって、それで先生せんせいがみんなにってごらんとおっしゃったのです。かいこはちっともこわくもなんともないのに、おかあさんがこわがるのは、おかあさんが、よわむしだからだろう。」と、せい一が、いいました。
「ほんとうにそうですね。じゃ、わたしにつかないところにいておくれ。」
せい一は、おかあさんがそういったので、いくらか安心あんしんしましたが、おかいこをどこへいたらいいだろう。
「おかあさんのにつかないところって、どこかなあ。」
いもうとといっしょに勉強べんきょうするへやにくことはできませんでした。いもうとがやはりおかあさんとおなじく、むしがきらいだからです。
物置ものおきにしようか、あすこは、くらくて、かぜがよくとおらないし。」と、かんがえているところへ、学校がっこう約束やくそくした、戸田とだがやってきました。
先生せんせいからいただいたおかいこをおせよ。」
「こんなんだ。」
せい一は、もうしおれかかったくわうえにのっているかいこをせました。
おおきいんだね。もうじきがるんじゃない。ぼくのは、こんなにおおきくないよ。」
先生せんせいだから、うまいんだろう。」
はやく、お菓子かしばこっておいでよ。」
せい一は、お菓子かしばこしました。また近所きんじょ米屋こめやはしっていって、わらももらってきました。戸田とだは、かいこをはこを一つ、まぶしを一つつくってくれました。
「ここらに、くわはないのかい。」
きみのうちにあるの。」
ぼくのうちのは、縁日えんにちってきた苗木なえぎだよ。」
「ここらに桑畑くわばたけがないんだ。」
「あとで、さがしておいでよ。こうこまかくきざんでやるのだ。」
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