ものぐさなきつね(2)
日期:2022-08-08 23:57 点击:247
二
かくして、
毎朝、
星は
夜の
間に
見た
不思議なことを
鶏に
知らせ、また
鶏は、
村の
中のできごとを
星に
知らせて、たがいに
春から
秋になるまで、
長い
間、
仲のいい
友だちであったのです。
星がしめやかな
言葉つきで、
「いま、
寒い
風が、あちらの
遠い
森の
中で
騒いでいる。」と、
鶏に
告げますと、
鶏は、うなだれて
体じゅうを
円くしてちぢむのでした。
「しかし、
鶏さん、
私はおまえさんを
毎晩守ってあげますよ。」と、
星はいったのです。
冬になって、
雪が
地の
上に
積もると、
鶏は
小舎の
中に
押し
入れられてしまいました。そして
外へ
出ることを
許されませんでした。
哀れな
鶏は、
小舎の
中にいて、どんなに
怠屈をしたでしょう。ただじっとしていて、
耳に
聞くものは
闇の
中に
狂う
風と
雪の
音ばかりでありました。
「ああ、
早く
春になって、
土を
踏みたいもんだ。そして、あの
優しい
黄金色に
輝く
星の
光を
見たいものだ。
春、
夏、
秋、なんという
長い
間、
私たちはまた
星とお
話することができるだろう。
楽しいことだ。」と、
鶏は
思いました。
星はまた、
毎夜限りない、しんとした
雪の
広野を
照らしていました。ただ
見るものは
白い
雪ばかりでした。そしてたまたま
黒い
森や、
山や、
流れが
目に
入りましても、なにひとつおもしろい
話をするではありません。そのほか、
怠けものの
獣物や、いじ
悪い
動物はありましたが、
自分に
向かってやさしく
話をする、あの
鶏のような
友だちはなかったのです。
星は
鶏のことを
思い
出していました。そして
早く
春になって、
鶏が
小舎から
出て、
空にくびを
伸ばして
話しかける
日になるのを
待っていました。
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