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一本の釣りざお(1)
日期:2022-09-01 23:23  点击:307


 あるさびしい海岸かいがんに、二人ふたり漁師りょうしんでいました。二人ふたりともまずしい生活せいかつをしていましたから、まちみやこんでいる人々ひとびとのように、うつくしい着物きものをきたり、うまいものをたくさんべたり、また、ぜいたくならしなどをすることは、おもいもよらないことでありました。
 二人ふたりは、どうかして、もっといいらしをしたいものだとおもいましたけれど、どうすることもできなかったのです。あおうみおもてつめながら、二人ふたりは、そのような幸福こうふくになれるのことばかりかんがえていました。
「いくらかんがえたってしかたがないことだ。おれたちははたらくよりみちがないのだ。」と、おつこうさとし、自分じぶん勇気ゆうきづけるようにいいました。
「それはそうだが、このうえおれたちははたらくこともできないじゃないか。」と、こうは、ためいきをしながらこたえた。
 ほんとうに、二人ふたりは、あめも、またかぜいて、少々しょうしょうなみたかいようなでも、ふねっておきて、あみったり、さかなったりしたのであります。
 なにごとも二人ふたりは、たがいにたすいました。そして、たいていはいっしょにはたらいていたのであります。けれど、人間にんげんうんというものは、まことに不思議ふしぎなものでありました。こうして、おなふねって、おなじくはたらいても、一人ひとりさいわい、一人ひとりにはなんでもないこともあるものです。
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09/21 23:30