日语学习网
あらしの前の木と鳥の会話(2)
日期:2022-09-19 06:00  点击:262
 


 たかは、がったくちばしを、かわみがいて、いていました。
「それは、いいところにがついたものだ。さっそく、視察しさつに、だれか、やったらいい。おまえさんには、だれがいいか、こころあたりはありませんか。」と、たかは、ひのきのにたずねました。
 ひのきのは、うなずきました。
「それは、やはり、人間にんげん姿すがたをしたものでなければ、この役目やくめは、たされないだろう。さいわい、あの乞食こじきを、にぎやかなまちへやることにしよう。あのには、おれも、おまえも、いろいろ世話せわをしてやったものだ。」
わたしは、あのに、他所よそから、くつをくわえてきてやった。また、着物きものをさらってきてやったことがある。」と、たかはいいました。
 ひのきのは、身動みうごきをしながら、
おれは、あのに、いろいろなうたふしおしえてやったものだ。また、あの父親ちちおやといっしょに、このしたにいる時分じぶんは、あめや、かぜをしのいでやったものだ。かげになり、ひなたになりしてまもってやったことを、あのは、よくおぼえているはずだ。あのは、おれあらはだをさすって、小父おじさん、小父おじさんといったものだ。」
「あのなら、いいだろう。」
「あのなら、だいいちに、こころからおれたちの味方みかたなんだ。」
 こういって、ふるいひのきのと、としとったたかとは、はなしをしていました。
 夕方ゆうがたになると、父親ちちおや子供こどもとは、ひのきのしたに、どこからかかえってきました。子供こどもは、えだつくった、胡弓こきゅうっていました。
 二人ふたりは、そこにあった小舎こやなかに、かくしました。
とうちゃん、さびしいの。」と、子供こどもはいいました。
「ああ、さびしい。」
とうちゃん、なにか、おもしろいはなしをして、かしておくれよ。」と、十一、二のおとこは、父親ちちおやたのみました。
「そんなに、さびしければ、あしたまちへいってみろ! まちへゆきゃ、おもしろいことがたんとあるぞ。ひとりでいっててこい。おらあ、ここにっている。かえったら、てきたことをみんなかしてくれ。」と、父親ちちおやはいいました。
 子供こどもは、だまっていました。
 このとき、あたまうえのひのきのかぜたって、っていました。そのおといていると、
「それがいい。それがいい。」といっているようでした。
「いってみようかしらん。あしたは、天気てんきだろうか?」と、子供こどもはいって、小舎こやぐちから、くりのまりのような、ののびたくびをして、そら景色けしきをながめると、はやしあいだから、雲切くもぎれのした、あおそらいろが、すがすがしくられたのです。そして、たかのそらってこえこえました。
「いってみろ! いってみろ!」
 たかは、こうさけんでいました。
分享到:

顶部
09/24 05:31