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あらしの前の木と鳥の会話(3)
日期:2022-09-19 06:00  点击:275
 


 乞食こじきは、胡弓こきゅうって、まちへやってきました。父親ちちおやは、むらあるいて、子供こどもは、一人ひとりまちへきたのであります。
 いい天気てんきでありました。あるはしのところへくると、うまおもくるまにつけて、いてきかかりました。そして、そこまでくると、もうあるけなそうに、まってしまいました。
 馬引うまひきは、つなで、ピシリ、ピシリとうまのしりをたたきつけました。うまは、苦痛くつうにたえかねてがりました。
 これを、ているひとたちは、みんなびっくりしました。
「ちと、が、おもすぎるのだ。」といったひともあります。
「かわいそうに。」と、うまに、同情どうじょうしたひともあります。
 乞食こじき子供こどもは、どうなることかとおもって、しばらくってていました。そのうちに、とうとううまは、はしわたって、おも荷車にぐるまいていってしまいました。このとき、先刻せんこくうまを「かわいそうに。」といったひとが、そばのおとこかっていったのです。
人間にんげんは、ああして、うまや、うしをずいぶんおもいきった使つかかたをしているが、さいわいにうまや、うしがものをいえないからいいようなものの、もしうまや、うしが、ものがいえたら、きっとそんな使つかかたはできないだろう。けっして、だまってはいないからね。ものがいえないでさいわいだ。」といいました。すると、相手あいておとこは、それに、こたえて、
「たとえ、ものがいえなくても、うまや、うしや、また、ねこや、いぬが、わらったり、いたりしたら、どうだろうね。」といいました。
「どんなに、気味きみわるいことか。」と、二人ふたりは、こういってわらいました。
 子供こどもは、このはなしかえったら、ちちや、やまや、とりに、はなしてやろうとおもいました。
 子供こどもは、まちあるいていますと、鳥屋とりやがありました。おおきなだいうえで、おとこが、三にんならんで、ぴかぴかひか庖丁ほうちょうとりにくき、ほねをたたきっていました。が、だいうえながれていました。そのだいしたには、かごのなかにわとりべてあそんでいました。
 鳥屋とりやまえに、二人ふたり学生がくせいって、ちょっとそのさまてゆきすぎました。子供こどもは、「なんというむごたらしいことだろう。」と、おもいました。そして、自分じぶんも、学生がくせいうしろについて、ゆきかかりますと、学生がくせいが、はなしをしていました。
にわとりというやつは、ばかなもんだね。仲間なかまころされているしたで、らぬかおをして、べているんだもの。」といいました。すると一人ひとりは、それをすようにして、
人間にんげんだっておなじじゃないか、毎日まいにちのように、わかいもの、年寄としよりの区別くべつなくんではかへゆくのに、自分じぶんだけは、いつまでもきているとおもって、欲深よくふかくしているのだ。」といいました。
 子供こどもは、これをいて、なるほどとおもいました。
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