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あらしの前の木と鳥の会話(4)
日期:2022-09-19 06:00  点击:282
 


 子供こどもは、いちばん、まちなかのにぎやかなところにきかかりました。
 かれは、ちいさなっている胡弓こきゅういて、かぜからならった、かなしげなうたをうたいはじめました。すると、とお人々ひとびとは、みんな不思議ふしぎかおつきをして、子供こども見送みおくりました。
 そこには、きれいなカフェーがありました。おおくのわかおんなが、かおに、しろ白粉おしろいって、くちびるには、に、べにをつけていました。そこで、やはり、そのおんなたちも、いいこえで、うたをうたっていましたが、子供こどもが、かぜからならった、かなしいうたをうたってきかかりますと、みんながだまってしまいました。
 子供こどもは、カフェーをのぞきました。ここならうたをうたったら、おあしをくれるであろうとおもったからです。まるいテーブルがいくつもおいてありました。その一つのテーブルに、おとこが、さけっていい気持きもちでいました。むかってこしをかけている、白粉おしろいったおんなも、すこしはっていました。テーブルのうえには、ビールのびんが、みなとふねのほばしらのようにならんでいます。おとこは、ガブ、ガブ、みんなそれをんだものとおもわれました。
 おんなこえで、なにかいったようですが、それは子供こどもみみに、よくはいりませんでした。それよりも、子供こどもは、二人ふたりが、さけんでいる、すぐそばに、かやの若木わかぎが、はちわって、しかもそのが、しろかわいているのをました。
 ビールを、ガブ、ガブ、むかわりに、一ぱいみずを、かやのもとにやればいいのにと、子供こどもは、おもったのです。
「このに、みずをやらんとれてしまうよ。」と、子供こどもはいいました。
 すると、さけっているおとこは、おこりました。
「なに、いらんことをいうのだ。さっさといってしまえ!」といって、ちいさなコップにのこっていた、ウイスキーを子供こどもかおに、かけました。子供こどもは、から、たかとおもいました。
 子供こどもは、そのがたなみだぐんだつきをして、ふもとのはやしなかかえってきました。小舎こやなかには、父親ちちおやっていました。
 子供こどもは、このまちてきたいっさいを父親ちちおやかってはなしました。
 ふるおおきなひのきの身震みぶるいをしました。
「いま、子供こどものいったことをいたか。」と、としとったおおたかにかっていいました。
人間にんげんは、すこしいいになりすぎている! ちっとおそろしいめにあわせてやれ。」と、たかは、いかりにえました。
おれたちは、今夜こんや、あらしをんで、まち襲撃しゅうげきしよう。」と、ひのきのは、どなりました。
わたしたちのちからで、ひとたまりもなく、人間にんげんまちをもみくだいてやろう。」と、たかはさけびました。
 たかは、黒雲くろくもに、伝令でんれいすべく、夕闇ゆうやみそらのぼりました。ふるいひのきはあめかぜぶためにあらゆるおおきなえだちいさなえだを、落日後らくじつごそらにざわつきたてたのであります。
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