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ある男と無花果
日期:2022-09-19 06:01  点击:260
 

あるおとこが、縁日えんにちにいって、植木うえきをひやかしているうちに、とうとうなにかわなければならなくなりました。そして、無花果いちじく鉢植はちうえをいました。
「いつになったら、がなるだろう。」
来年らいねんはなります。」と、植木屋うえきやこたえました。しかしそのは、ちいさくありました。
おとこは、それをってかえ途中とちゅう夕立ゆうだちにあいました。
もう、そのときは、そんなどころではありません。などは、どうでもよかったのです。ともだちのうちたよって、あめのやむまでって、かえりには、その無花果いちじくはちあずけてゆきました。
幾月いくつきも、幾年いくとしもたちましたけれど、おとこは、わすれたものか、ともだちのいえへあずけたりにゆきませんでした。
しかし、このおとこは、なかなか欲深よくふかでありました。五、六ねんもたって、ふと、いつか自分じぶん無花果いちじくともだちのもとにあずけておいたことをおもしました。さっそくりにゆきました。
「あなたが、きっとりにおいでなさるとおもって、大事だいじそだてておきました。」と、そのいえひとはいって、裏庭うらにわ案内あんないしました。
おおきな無花果いちじくに、がいっぱいなっていたのです。おとこは、おどろきました。かつ当惑とうわくしました。しかたがなく、って、くるませてかえりました。
しかし、それは、うつ時期じきでなかったので、もしなびてしまえば、れてしまいました。
けっきょく、おとこは、ほねおりぞんわったわけです。

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