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白い雲(4)
日期:2022-11-14 00:00  点击:238

 

としちゃんのおおきな磁石じしゃくは、ラジオのおじさんから、電気でんきをかけてもらって、ばかにちからつよくなりました。
学校がっこうかえりに、往来おうらいうえで、よっちゃんやたけちゃんは、としちゃんをはさんで、としちゃんのおおきな磁石じしゃく自分じぶんたちのちいさな磁石じしゃくしつけて、電力でんりょくけてもらっていたのです。
「いいんだねえ、としちゃん、すこしばかりけてもらっても、としちゃんのほうは、ずっとつよいんだものね。」と、たけちゃんが、がねをしながらいいました。
ぼくも、ラジオのおじさんにおねがいしてつよくしてもらおうかな。」と、よっちゃんがいいました。
「いいよ、ぼくのは、あかいところがはげているのだから、どうせ使つかわなくても、ひとりでに電気でんきがなくなるのだもの。」と、としちゃんは、今度こんど、おかあさんに、あかいところのはっきりとした、あたらしい磁石じしゃくってもらうことをあたまえがいていました。そこへ、おなくみ西山にしやまがきかかりました。
きみ、それよりか、鉱石こうせきりにいかない? そのほうが、よほどおもしろいぜ。磁鉄鉱じてつこうも、黄銅鉱おうどうこうも、きんもあるのだよ。」と、郊外こうがいほうから通学つうがくする西山にしやまが、いいました。
「ほんとうかい、どこに?」と、よっちゃんと、としちゃんは、磁石じしゃくのことをわすれたように、かがやかしました。
「いま、かわ工事こうじをして、った石塊せきかいがたくさんあるのだ。さがせば、いろんないしつかるよ。きんは、紫色むらさきいろをしているだろう。ちか、ちかひか黄銅鉱おうどうこうと、それに、方解石ほうかいせきが、いちばんおおい。方解石ほうかいせきは、たくさんあるよ。」
それでなくてさえ、みんなは、なにかめずらしい、愉快ゆかいなことはないかとおもっていた矢先やさきですから、それをきくと、つばかりにうれしかったのです。西山にしやま往来おうらいたしておいて、かばんをうちむと、すぐに、としちゃんも、たけちゃんも、よっちゃんも、してきました。その姿すがたつけると、
わたしたちも、つれていってね。」
はらっぱにあそんでいた、かつさんと、よしさんが、みんなのあとってきました。かれらは、電車道でんしゃみち横切よこぎって、みどりがたくさんはいる、しずかな、せみのごえのする、すずしいみちいそいだのであります。
西山にしやまは、一どう野中のなか河普請場かわぶしんば案内あんないしました。工事こうじはなかなかの大仕掛おおじかけでした。河水かすいをふさいで、工夫こうふたちは、河底かわぞこをさらっていました。ほそいレールが、きしって、ながく、ながくつづいています。その行方ゆくえひかったくさなかぼっしていました。工事場こうじば付近ふきんには、いし破片はへんや、小砂利こじゃりや、材木ざいもくなどがんでありました。また、ほかの工夫こうふたちは、おも鉄槌てっついで、材木ざいもくかわなかんでいます。ふとなわで、鉄槌てっついげて、とすたびに、トーン、トーンというめりむようなひびきが、あたりの空気くうき震動しんどうして、とおくへ木霊こだましていました。ときどき、おもしたように、ゴーッ、ゴーッとさけびをげて、トロッコが幾台いくだいとなくつづいて、小石こいし満載まんさいしてきました。これを工事場こうじばけると、ふたたび、あちらへかえしていくのでした。
「あっちに、まだったいしがたくさんんであるのだよ。」
西山にしやまは、先頭せんとうって、草原そうげんほう突進とっしんしました。なるほど、トロッコのとおるレールから、そうはなれていないが、工事場こうじばからはかなりへだたった草原そうげんなかに、いし破片はへんが、しろ小山こやまのごとくかさねてありました。らない子供こどもが二、三にんさきにいって、熱心ねっしんに一つ、一つ、いしをよりけている姿すがたえたのです。
いしってもしかられない?」と、としちゃんが、ききました。
「このおおきいのは、一つだっておもくてってはいかれないさ。ちっとばかり、ぶんなら、かまわないだろう。」と、西山にしやまが、こたえました。
「しかられないかなあ。」と、よっちゃんは、かんがえながら、トロッコのとおるたびに、線路せんろほうました。
おこったら、げればいいや。」
西山にしやまは、そういって、もういしおかのぼっていました。
「ほら、これが方解石ほうかいせきなんだぜ。」
しろいし破片はへんに、いろとまじって、ひときわしろ光沢こうたくはなち、しおなどの結晶けっしょうのようにえるのです。方解石ほうかいせきだけは、っても、っても、四角形かくけいれる特徴とくちょうゆうしていました。
「ちょっと、水晶すいしょうみたいだね。」と、たけちゃんが、いいました。らない子供こどもたちまで、西山にしやまのそばにってきました。その子供こどもたちのにも、なにかいしにぎられています。
「これきんでない?」と、その一人ひとりが、自分じぶんっている、いし破片はへんしめしました。
「どれ、そいつは磁鉄鉱じてっこうらしいな。きんは、もっとうす紫色むらさきいろびているよ。」と、西山にしやまが、いいました。
「この、ちかちかひかるところだけは、どうなんだろう?」と、よっちゃんが、のぞきました。
「そうらしい。」
ぼく方解石ほうかいせきつけた!」
ると、としちゃんは、いしで、いしって、その部分ぶぶんだけをろうとしています。
きみ方解石ほうかいせきって、どんなの?」
らない子供こども一人ひとりが、よくろうとして、としちゃんにききました。
としちゃんが、おしえていると、ちょうど、ゴーッ、ゴーッとかぜって、レールのうえはしってくる、トロッコのおとがしました。
「おい、がきども、いたずらするなあ。」と、そのトロッコは、とおぎるときに、わめいてゆきました。
二人ふたり労働者ろうどうしゃが、からのトロッコにっていました。元気げんきのいい若者わかものでした。あとからも、あとからも、いくつかのトロッコはつづいてゆきましたが、なかには、こちらをて、したしげにわらっていくおとこもありました。
「さっきのやつ生意気なまいきだね。」といったのは、たけちゃんです。
「もし、あいつがんできたら、ぼくたちげようか。」
げなくたっていいさ。」
「そうしたら、おもしろいな。なんでぼくたち、つかまるもんか。」
いしげてやろうや。」
「かっちゃんや、よしさんは、はやくあっちへいっておいでよ。」と、よっちゃんが、いいました。
わたし、つかまったら、あやまるわ。」と、よしさんが、いいました。
「いやよ。だって、わたしたちなにもしないんでしょう、ているだけですもの。」と、かつさんが、いいました。
「それだから、おんななんか、こなければいいんだ。」と、たけちゃんが、おこりました。
「もう、いいよ。」
「それよりか、はやく、いいのをつけようや。」
としちゃんは、かおをして、いしいしちつけていました。
しばらく、みんなが、いしるのに夢中むちゅうだったのです。

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