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大根とダイヤモンドの話(2)
日期:2022-11-18 23:59  点击:235
  しかし、自分じぶんで、いったんおもいたったことは、やめるような地主じぬしでありませんでした。地主じぬしは、かねのあるにまかせて、
「いい日当にっとうすから、いってもらいたい。」といいました。
植木屋うえきやは、日当にっとうがもらえるし、ゆけば、またなにかめずらしい高山植物こうざんしょくぶつってこようとおもいましたので、ついにゆくことにしました。
しょうは、一ねんじゅう、やすというものは、まれにしかありません。つねに、はたけや、はたらいています。つぎからつぎに、仕事しごとなくあるからであります。
大根だいこんを、地主じぬしのところへってまいりました、おなじ百しょうは、あるあさ地主じぬしが、やまへゆくのにあいました。
「おはようございます。どちらへおかけでございますか。」と、百しょうは、ていねいにあいさつをしてたずねました。
「これから、やまへいってくる。いいことがあるのだ。うまくいったら、たいへんな土産みやげってくるぞ。」と、地主じぬしは、あちらのやまほうのぞみながらいいました。
しょうは、地主じぬしがいいことがあるといったのは、なんだろう? きっとなにかおおもうけのくちがあったにちがいない。自分じぶんたちは、一ねんじゅう、こうして、あさから、ばんまではたらいていても、かねのたまるわけではなし、おもしろいことをるでもない。ほんとうにつまらないものだとおもいましたが、百しょうは、また、人間にんげんというものは、正直しょうじきはたらかなければならないものだとかんがなおしました。そして、熱心ねっしんに、自分じぶんのする仕事しごとにとりかかりました。
天気てんきは、どうだろうかな。」と、地主じぬしは、あるきながら、植木屋うえきやにたずねました。
「だんなさま、このとおりくもひとつない上天気じょうてんきでございます。このぶんですと天気てんきがつづくだろうとおもいます。」と、如才じょさいない植木屋うえきやは、こたえました。
そのあくるは、いよいよそのやまなかにはいるのです。ちからつよ案内人あんないにん二人ふたりたのみまして、山奥やまおくへとみちけて、はいってゆきました。
あるきつけない、けわしいみちのぼりますときも、地主じぬしにダイヤモンドのひかりつめていました。それがために、くるしさをもわすれました。わりがちなあきそらは、たちまちあめになりました。ことに、やまなかは、もうさむかったのであります。こんなときも、地主じぬしは、ダイヤモンドのひかりえがいて、苦痛くつうわすれたのであります。
やっと、植木屋うえきやが、あちらの岩角いわかどに、ひかるものをたという場所ばしょまでたどりつきました。ちょうどそらはよくれてひかりが、あたりにあふれていました。それは真夏まなつ時分じぶんちがって、幾分いくぶんよわく、またあつさもひどくかんじなかったけれど、ふか谷河たにがわへだててあちらのいわをも日光にっこうらしていたのであります。
植木屋うえきやは、もしや、あのひかるものが、いつのまにかなくなりはしないかと、心配しんぱいでなりませんので、さっそくそのほうますと、ちかちかとまぶしくひかるものがあったのです。
「なるほど、あれはなんだろう?」
不思議ふしぎだ。」
「なんだろう。」
みんなは、そのほうて、あたまかたむけていました。地主じぬしは、これをると、たかぜに使つかって、ここまでやってきたかいのあったことをよろこびました。それにしても、あすこへは、どうしていったらいいだろう?
いままで、だまっていました、案内者あんないしゃ一人ひとりは、はじめてくちひらいて、
「なにけい、ひかっているあれけい、ありゃ、いわけめからみずがわいているのだ。」と、ゆったりとした調子ちょうしでいいました。
「え、みず?」
みずか。」
みずだろうか?」
みんなは、あのひかるものは、ほかのなんでもない、みずであったとわかって、あっけにとられてしまいました。なかにも、地主じぬし植木屋うえきやは、ひかるものがガラスか、ダイヤモンドか、二つよりしかかんがえつかなかったのでありました。
「そういえば、みずにちがいない。」と、みんなははじめておもいました。岩鼻いわはなからみずがわくことは、きわめてしぜんなことであったからであります。
地主じぬしは、かえりには、不平ふへいのいいつづけでした。植木屋うえきやかって、
「おまえは、商売しょうばいがらでありながら、岩角いわかどから、みずのわきているのがわからないとはどういうことだ。」といいました。さすがに、如才じょさいのない植木屋うえきやも、ちょっとしたはなしがこんなことになるとはおもいませんでした。こういわれても、返事へんじすることができなかったのであります。むらかえると、そのあいだに、百しょうは、おこたらずにはたらいていました。地主じぬしは、はじめて、まじめにはたらかなければならないとりました。そして、こうして、せいしたから、あのみごとな大根だいこんはできたのであろう。地主じぬしは、いつか百しょうってきた大根だいこんおもしました。そして、植木屋うえきやにあの大根だいこんをやったことをしみました。なぜなら植木屋うえきやのくれたしゃくなげは、まもなくれてしまったからであります。
 

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