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小さな金色の翼(2)
日期:2022-11-23 23:58  点击:301
 
不思議ふしぎなことに、小鳥ことりは、まったく元気げんきづいてしまいました。そして、もう一うみけきって広々ひろびろとした野原のはらいだして、自分じぶんらの仲間なかまがっしようと決心けっしんしました。
「さあ、んでおゆき。」といって、むすめそらげてくれたのを機会きかいに、小鳥ことりは、この燈台とうだいや、花園はなぞののあるしまあとに、とおく、とおうみしたおろしながら、どこへとなくんでゆきました。
ある夕方ゆうがた小鳥ことりは、おおきなはやしなかで、みんなとあいました。みんなは、どこへいってきたか? あのあらしのときはどうしたか? と、いろいろにたずねました。
みんなをひきいている親鳥おやどりは、むずかしいかおつきをして、「わたしたちはどんなに心配しんぱいしていたかしれない。どこへいってきたのか、くわしくはなしなさい。」といいました。
小鳥ことりは、あらしにかれて、ついおもわぬ方角ほうがくんでいってうみうえてしまい、わずかに一つのおおきなつけて、そこへんでいって、やっと、やさしい人間にんげんすくわれたということを物語ものがたりました。
このはなしをきいていたとりたちは、びっくりしました。またそのはなしのうちでも、やさしい人間にんげんすくわれたということが異様いようかんじられたのでありました。
親鳥おやどりは、あたまいくたびもかたむけながら、
わたしは、まだ、そういう燈火ともしびたことがない。だいいちあらしの燈火ともしびのついているはずがない。やはりおまえのたのは、つきだったろう。そして、花園はなぞのとか、やさしい人間にんげんすくわれたとかいうのは、きっとおまえがゆめたのにちがいない。人間にんげんほどおそろしいものが、この世界せかいにあろうか? 人間にんげんが、おまえをらえたら、けっしてたすけてくれるものでない。また、あのすごいあらしのばんに、おまえのつばさうみうえべるものでない。きっと、おまえは、どこかのもりなかゆめたのだ。」といいました。
みんなも、親鳥おやどりのいったことをほんとうにおもいました。
それから、また、これらのわたどりなが旅路たびじはつづけられました。
親鳥おやどりは、みんなにいましめていいました。
「おまえたちはけっして、はなればなれになってはいけません。いっしょにむらがってゆくのです。たかく、たかく、そらけてゆくのです。人間にんげんおそろしいから、人間にんげんにつかないように、らえられないようにをつけるのです。らえられたら、ころされてしまいます。そして、晩方ばんがたは、はやく、おおきなはやし奥深おくふかくはいってねむるのです。わたしたちとりは、よるになるとがきかなくなるのだから、太陽たいようのあるうちに、はやしさがさなければなりません。つきひかり太陽たいようとまちがってはいけません。みんなが、わたしのいうことをきかないと、このあいだみたいに、ひとりだけどこへかいっておそろしいめをみなければなりません。それでも、無事ぶじかえってこられたことは、まことにしあわせでした。みんなは、愉快ゆかい幸福こうふくに、わたしたちのたびをつづけなければなりません……。」といいました。
みんなは、なるほどとおもって、親鳥おやどりのいうことをいていました。
「それでも、無事ぶじでよかった。」
「もう、これからをつけなければならない。」と、とりたちは口々くちぐちにいって、燈台とうだいのあったしま花園はなぞのからかえってきたとりかっていってきかせました。
あわれな小鳥ことりは、なんといってもみんながしんじてくれないのをかなしくおもっていました。そして、かれはみんなとそののちは、いっしょにたびをつづけました。けれど、かれは、あのすさまじいあらしののことをおもうとぶるいがしました。また、燈火ともしびひかりたときのことをおもうとむねおどりました。そして、あのうつくしかった花園はなぞのねむったこと、そして、また、やさしいむすめにぎられて、あたたかないきをかけてもらったことをおもすと、恍惚こうこつとせずにはいられませんでした。けっして、それはゆめではなかったのです。この小鳥ことりだけは、おそらく終生しゅうせい自分じぶん経験けいけんしたことをおもしてわすれなかったでありましょう。
――一九二四・一二作――
 

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