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チューリップの芽
日期:2022-11-23 23:58  点击:302
 

チューリップの芽

小川未明


チューリップは、つちなかで、おかあさんから、なかてからの、いろいろのおもしろいはなしをきいて、はやしたいものとおもっていました。
「ちょうちょうは、どんなに、うつくしいの?」と、おかあさんにたずねたりしました。
「そんなに、いそいではいけません。いい時分じぶんになったら、おかあさんがいってあげます。それまでは、おとなしくして、っておいでなさい。」と、おかあさんは、さとされました。
けれど、今年ことしるチューリップは、がまんしていることができませんでした。
「おかあさん、もう、してもいいでしょう。」といいました。
「いいえ、まだ、いけません。」と、おかあさんはゆるされなかったのです。
けれど、とうとうチューリップは、がまんができなくなって、銀色ぎんいろのかわいらしいつちうえしました。
なんというあかるい世界せかいでありましたでしょう。けれど、まだ、すこしはやかったので、太陽たいようとおく、かぜさむうございました。かわいらしいチューリップは、ぶるいしなければなりませんでした。
しかし、一したからは、もはやどうすることもできませんでした。チューリップは、つちなかくら世界せかいこいしくなって、おかあさんのいうことをかなかったことを後悔こうかいしました。
このとき、はたけをみまってきた、しんせつなおじいさんは、チューリップのが、ふるえているのをて、「ああ、まだすこしはやい。いまたらしもいたんでしまおう。」といって、くわで、チューリップのあたまうえへ、つちをかけてくれました。
チューリップは、ふたたび、あたたかな世界せかいへはいって、はるのくるのをつことになりました。

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