つめたい メロン
小川未明
おかあさんが、れいぞうきの ふたを おあけなさると、いい においが しました。
「二郎ちゃん、メロンが つめたく なって いますよ。にいさんが かえったら、きって あげましょうね。」
と おっしゃいました。
二郎さんは じぶんも、にいさんの しゃせいに いって いる、ぼくじょうへ いって みようかと おもって いると、おばさんが、きみ子さんを つれて、おいでに なりました。
きみ子さんは、すぐ おにわへ でて ぶらんこに のりました。
二郎さんは、バケツの 中の かにを、きみ子さんに みせて やりました。
「メロンを きりましたから、いらっしゃい。」
と、おかあさんが およびに なりました。ふたりは とんで きました。
「この つめたいのを、にいさんに やりたいなあ。」
と、二郎さんが いうと、
「まあ、かんしんなこと。」
と、おばさんが おほめに なりました。おかあさんは、メロンを バスケットに いれて くださいました。
「わたしも いっしょに。」
と、きみ子さんは、二りん車の うしろに のりました。
二郎さんは スピードを だして はしりました。シャツの そでが 風に ふくらんで、かみのけが ふわふわしました。
「メロンを もって きた!」
と、ふたりが さけびました。すずしい 木の 下で、太郎さんは、クレヨンで うしの えを かいて いました。
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