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強い大将の話(1)
日期:2022-11-27 08:37  点击:289
 

強い大将の話

小川未明

一


ある国くにに、戦争せんそうにかけてはたいへんに強つよい大将たいしょうがありました。その大将たいしょうがいる間あいだは、どこの国くにと戦争せんそうをしても、けっして負まけることはないといわれたほどであります。
それほど、この大将たいしょうは知略ちりゃく・勇武ゆうぶにかけて、並ならぶものがないほどでありました。それですから、よくほかの国くにと戦争せんそうをしました。そして、いつも勝かったのであります。
あるとき、隣となりの国くにと戦争せんそうをしました。それは、いままでにない大おおきな戦争せんそうでありました。そして両方りょうほうの国くにの兵隊へいたいが、たくさん死しにました。隣となりの国くにでは、今度こんどばかりは勝かたなければならぬといっしょうけんめいに戦たたかいましたけれど、やはりだめでした。そして、とうとう最後さいごに負まけてしまいました。けれど、さすがの強つよい大将たいしょうも、今度こんどはやっと勝かったというばかりで、みな家来けらいのものもなくしてしまいました。
大将たいしょうは疲つかれて、生いき残のこったわずかな人ひとたちとともに、都みやこをさして戦場せんじょうから歩あるいてきました。そして、戦争せんそうのために荒あれはてた、さびしいところを通とおらなければなりませんでした。森もりも林はやしも、大砲たいほうの火ひで焼やけてしまったところもあります。広ひろい野原のはらに、青草あおくさひとつ見みえないところもあります。まったく昔むかしの日ひと、あたりの景色けしきがすっかり変かわっていました。
ある日ひの暮くれ方がた、大将たいしょうは、まったく路みちに迷まよってしまったのであります。

 


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