強い大将の話(2)
日期:2022-11-27 08:37 点击:245
二
このとき、あちらから
目を
泣きはらした、
貧しげな
女がやってきました。その
女は、もうだいぶの
年とみえて、
頭髪が
白うございました。
大将は、
女を
呼び
止めて、
都へゆく
路をたずねました。
「あなたは、どなたさまでございますか。」と、
年老った
女は、
泣きはらした
目を
上げて
尋ねました。
「おまえは、
俺を
知らないのか、
今度大戦争をして、ついに
敵を
負かした、
大将が
俺だ。」と、
大将はいわれました。
年老った
女は、じっとその
顔を
見上げていましたが、
「あなたは、
地図をお
持ちにならないのでございますか。」と
申しました。
「ああ、この
大戦でみんな
焼けてしまった。」と、
大将は
激戦の
日の
有り
様を
目に
思い
浮かべて
答えられました。
すると
年老った
女は
考えていましたが、さびしい
細い
路を
指さして、
「これを、まっすぐにおゆきなさるとゆかれます。」と
申しました。
大将は、わずかな
家来を
引き
連れて、その
路を
急がれました。けれど、どこまでいっても
人家がありません。やっとたどりついたところは、いつか
激戦のあった、
思い
出してもぞっとするような
戦場であって、ものすごい
月の
光が
照らしていたのであります。
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