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時計とよっちゃん(1)
日期:2022-11-27 08:43  点击:349
 

時計とよっちゃん

小川未明

一


よっちゃんは、四つになったばかりですが、りこうな、かわいらしい男おとこの子こでした。
よっちゃんは、毎日まいにち、昼眠ひるねをしました。そして、たくさんねむって、ぱっちりと目めをあけましたときは、それは、いい機嫌きげんでありました。
「チョット、チョット。」といって、よっちゃんの頭あたまの上うえから、このとき呼よぶものがあります。よっちゃんは、ぱっちりした目めを上うえに向むけますと、茶ちゃだんすの上うえにのせてあった、目めざまし時計どけいが、いつもの円まるい顔かおをして、にこにこ笑わらっているのでありました。
よっちゃんは、いつもおなじところに、じっとしている時計とけいをば不思議ふしぎそうにながめていました。たまには、歩あるいて、ほかへ動うごきそうなものだとおもったからです。
だまって見みていると、時計とけいが、
「チョット、チョット。」と、おなじいことをいっています。
よっちゃんも、時計とけいを見上みあげて、にっこり笑わらいました。
「うま、うま……。」といって、かわいらしい手てをあげて、時計とけいの方ほうへさし出だしました。けれど、時計とけいは、お菓子かしをくれませんでした。やはり、笑わらっているばかりでした。よっちゃんは、じつに、さびしくなって、泣なき出だしました。すると、お母かあさんが、あちらから、あわてて駈かけてきました。
「よっちゃん、お目めが、さめたのかい。」

二


「よっちゃん、そうお菓子かしばかり食たべるとぽんぽんが痛いたくなりますよ。」と、お母かあさんはいわれました。お菓子かしを食たべてしまうと、よっちゃんは、すぐに、また、その後あとから、「お菓子かし……お菓子かし。」とねだって、お母かあさんが、なんといっても、ききわけがなかったのです。茶ちゃだんすの上うえには、いつもの目めざまし時計どけいが、円まるい顔かおをしてこの有あり様さまを見みていました。このとき、お母かあさんは、茶ちゃだんすの上うえにあった、目めざまし時計どけいを指さしながら、「あの長ながい針はりが、ぐるりとまわったらお菓子かしをあげましょうね。」といわれました。よっちゃんは茶ちゃだんすの上うえの円まるい時計とけいを見みています。しかし、長ながい針はりが、なかなか早はやくは、まわりませんでした。「ねえ、お菓子かし……おかあちゃん! お菓子かしくれないの。」と、よっちゃんはいいました。
「この長ながい針はりが、ここまできたら、あげますよ。それでなければ、だめ。」と、お母かあさんは答こたえました。よっちゃんは、指ゆびをくわえながら、うらめしそうな顔かおつきをして、時計とけいをながめていました。

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