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時計とよっちゃん(2)
日期:2022-11-27 08:43  点击:255
 


「チョット、チョット。」と、時計とけいは、よっちゃんが、昼眠ひるねをしてをさますと、あたまうえでいつものごとくびかけました。よっちゃんは、そのたびに、びっくりして、ぱっちりとしたで、一は、きっと時計とけいまるかおをながめましたが、くろい、ながはりると、お菓子かしのほしいときにも、意地悪いじわるをして、なかなかはやくはうごいてくれないことをおもって、もうそのかおたくもなかったのでした。しかし、よっちゃんのちからでは、そのながはりをどうすることもできなかったのです。なぜなら、時計とけいまるしろかおうえには、あつい、ぴかぴかとひかるガラスがられていたからです。あるとき、よっちゃんは、おかあさんが針仕事はりしごとをしていなさるそばであそんでいました。おかあさんは、よっちゃんのうつくしい着物きものっていられました。このとき、よっちゃんは、おかあさんの物差ものさしをって、ちゃだんすのまえにゆきました。そして、物差ものさしで、こつ、こつと時計とけいかおをたたきました。
「あ、よっちゃん、そんなことをしては、いけません。」と、おかあさんはいわれました。しかし、よっちゃんは、すぐには、やめませんでした。なぜなら、時計とけいまるい、しろかおがしゃくにさわったからです。つづけて、こつ、こつたたきました。「これ、よっちゃん、およしなさい。」と、おかあさんはしかって、物差ものさしをりあげてしまいました。


おとなりのみいちゃんがあそびにきて、よっちゃんは、二人ふたりで、座敷ざしきで、あおいはとぽっぽや、あか汽車きしゃのおもちゃなどをして、なかよくあそんでいました。よっちゃんは、汽車きしゃのことを、チイタッタといっていました。チイタッタといって、汽車きしゃ線路せんろうえはしってゆくからです。ちょうどこのときでした。ぐらぐらといえれはじめました。よっちゃんもみいちゃんも、なんだろうとおもって、びっくりしました。そのうちに、ガラスが、ガタ、ガタ、り、障子しょうじがはずれかかりました。「おおきな地震じしんだ!」といって、あちらからおかあさんがけてきて、片手かたてによっちゃん、片手かたてにみいちゃんをだいてしました。すると、たなのうえにあったものが、ガラガラとって、ちてきました。お勝手かってほうではもののこわれるおとやころがるおとなどがして、大騒おおさわぎでありました。そとると、あっちの屋根やねからも、こちらの屋根やねからも、かわらがちてきました。しかし、みんなは、安全あんぜんに、広場ひろばげてまいりました。そこへは、みいちゃんのおねえさんも、おかあさんもきあわせました。よっちゃんは、おそろしかったこともわすれて、あたりがにぎやかなので、よろこんでいました。


だんだん地震じしんしずまった時分じぶん、みんなはめいめいのうちへはいりました。よっちゃんもうちへはいってうちさまてびっくりしました。かべちたり、ちゃだんすのうえにあったものがちてこわれたり、ころがったりしていたからです。
まるい、しろかお時計とけいも、たたみのうえへ、ひっくりかえっていて、ガラスが微塵みじんやぶれていました。「まあ、まあ……。」といって、おかあさんは時計とけいげて、ちゃだんすのうえへのせられました。よっちゃんは、ガラスのなくなった時計とけいを、だまってめずらしそうにながめていました。しかしくろい、ながはりは、もとのように、ついていました。そのから時計とけいはりまえのごとく、うごきはじめました。よっちゃんは、当座とうざは、いままでのように、おちついて、昼寝ひるねも、おかあさんにかれながらするようになりました。そして、がさめると、「チョット、チョット。」と、あたまうえで、時計とけいんだのであります。時計とけいしろまるかおうえには、ガラスがなくなって以来いらい、まだ、あたらしいガラスが、はまっていませんでした。よっちゃんは、なにをおもったか、おかあさんの針箱はりばこをふみだいにして、それへがって、時計とけいしろかお不思議ふしぎそうにながめていたのです。
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