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なまずとあざみの話(2)
日期:2022-11-29 02:15  点击:229
 
あざみは、よく、なまずをますと、なるほど、としをとっていました。ちいさなうおたちが、気味悪きみわるがっているおばさんは、このなまずであるかと、しみじみとながめたのでした。しかし、あざみは、いま、このくるしんでいるなまずにたいして、同情どうじょうせずにはいられませんでした。
「ほんとうに、おいたわしいことでした。わたしは、このきしいて、あなたのおくるしみなさるのをるばかりで、どうすることもできません。」といいました。
なまずは、またしろはらしてたおれたが、やっとちからしてがった。
わたしは、人間にんげんをうらめしくおもいます。このふか水底みずそこにすんでいるわたしたちが、どんなわるいことを人間にんげんにたいしてしたでしょうか?」
なまずは、そういったことさえやっとでした。あざみは、なまずのいうことに、みみをかたむけているうちに、人間にんげんが、自分じぶん毒々どくどくしい、野卑やひはなだといって、あしげにしたことをおもしました。そのとき、人間にんげんは、すみれのはなをかわいらしいはなだといってほめたのです。
「ほんとうに、いつわたしたちは、人間にんげんにたいして、にくまれるようなことをしたか。すべてがおなはなだのに、なぜ差別さべつをつけなければならぬのか……。」と、あざみは、おもったが、くちにはさずに、
「あなたのおうらみなさるのは、もっともです。」といいました。
あざみは、なまずのくるしみつづけた最後さいご見守みまもりました。その晩方ばんがた、なまずは、しろはらしたきり、もうなおりませんでした。ちいさなうおたちはとおくから、このさまをながめていたが、いそいでこのことをおやたちにげるために、姿すがたしてしまった。
二、三にちたつと、あざみのはなは、くろいろわってしまった。たまたまんできたちょうが、これをながめて、
「このはなは、病気びょうきだろうか?」といって、まらずにってしまったのです。
なやみと、うれいのために、あざみのはなは、くろくなってしまったのでした。

みやこからきた、植物学者しょくぶつがくしゃが、このかわのほとりをあるきました。そして、くろいあざみのはなつけてびっくりしました。
「これは、たいした発見はっけんだ。このはなに、おれのまえでもつけてやろう。」と、よろこんで、もとから、あざみのはなってしまった。
学者がくしゃは、そのはな帽子ぼうしにさしました。もっとこのあたりをたずねたら、あたらしい、不思議ふしぎ植物しょくぶつ発見はっけんされないものでもないと、をさらにしてあるいていました。
「なにか、あたらしい発見はっけんをして、博士はくしになろう。」と、学者がくしゃ希望きぼうえていました。
ちょうどそのあとへ、昨日きのうのちょうがんできて、
「あのどくな、病気びょうきのあざみはどうなったろう。」と、みまったのでした。すると、むざんにも、だれにか、ちぎられてしまっていたので、ちょうは、あわれなはな運命うんめい同情どうじょうせずにはいられなかったのです。
学者がくしゃは、みやこかえるため汽車きしゃっていました。あざみのはならさないようにと、帽子ぼうしにさしていたが、まどによりかかっているうちに居眠いねむりをしました。はなは、もうまったくしおれかかっていたので、かぜくたびに、汽車きしゃまどから、ぎる村々むらむらへ、ってんでゆきました。
原因不明げんいんふめいかる熱病ねつびょうが、村々むらむら流行りゅうこうしたのは、そののちのことです。しかし、がたつと、いつしかその病気びょうきも、あとかたなくえてしまいました。
 

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