二
良吉は
悲しさのあまり
泣きあかしました。
文雄は
村のお
寺の
墓地に
葬られました。
良吉は
文雄のお
葬式のときにも
泣いてついてゆきました。それからというものは、
彼は
毎日のように
暇さえあればお
寺の
墓地へいって、
文雄の
墓の
前にすわって、ちょうど
生きている
友だちに
向かって
話すと
同じように
語りました。
「
君、さびしいだろうと
思って
僕は
遊びにきたよ。」
と、
良吉はいいました。
木枯らしは、そのさびしいほかにはだれも
人影のいない
墓地に
吹きすさんで、
枯れた
葉が、
空や、
地の
上にわびしくまわっていました。そして、しばらくそこに
良吉はいますと、やがて
日がうす
暗くなります。すると
彼は
名残惜しそうに
帰ってゆくのでありました。
けれど、
良吉の一
家は
事情があって、その
明くる
年にこの
村からほかの
村へ
移らなければならなくなりました。
良吉はまたしばらく
文雄のお
墓にもおまいりができなくなると
思って、ある
日のことお
墓へおまいりに
参りました。そして、そのわけをいってから、
彼は
名残惜しそうについにこの
村を
離れたのであります。
今度、
良吉の一
家の
越してきたところは、ある
金持ちの
家の
隣でありました。その
金持ちの
家にも、ちょうど
良吉と
同じ
年ごろの
力蔵という
子供がありました。そして、
二人はじきに
友だちとなりました。
力蔵はほしいものは、なんでも
買ってもらいました。
流行のおもちゃも、きれいな
本も、いろいろのものを
持っていました。そして、それらのものを
家の
外に
持ってきては、
同じ
年ごろの
友だちにみせました。
良吉にはまだはじめて
見るような、
名も
知らない
珍しいおもちゃがありました。けれど
力蔵はだれにもそれを
貸してくれません。たとえ
貸してくれても、すぐにそれを
取ってしまいました。
良吉も
心の
中で、
自分もあんなおもちゃがほしいものだと
思いました。
彼は
飛行機や、モーターボートや、オルゴールや、
空気銃などは一つも
持ってみたことがありません。どれでも
力蔵が
持っているようなおもちゃの一つでも
自分が
持つことができたなら、
自分はどんなにうれしいかしれないと
思いました。
力蔵が
持っている、いろいろなおもちゃの
中でも、
彼のいちばんほしいと
思ったものは
飛行機と、オルゴールでありました。そのオルゴールは、なんともいえないいい
音色がするのでありました。
「
力蔵さん、
私にすこしその
鳴るおもちゃを
貸してくれない?」
と、
良吉はある
日、
外で
力蔵がオルゴールを
鳴らしているそばへいって
頼みました。すると、
力蔵は
頭を
左右に
振って、
「いやだ。これを
貸すと、
君はすぐに、
壊してしまうもの。」
といいました。
「
大事にして
持っているから、ちっとばかり
貸してくれない?」
と、
良吉は
目に
涙をたたえて
頼みました。
「
僕は、
人に
貸すのはいやだ。」
といって、
力蔵は
貸してくれませんでした。