日语学习网
星の世界から(2)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3334
 


良吉りょうきちかなしさのあまりきあかしました。文雄ふみおむらのおてら墓地ぼちほうむられました。良吉りょうきち文雄ふみおのお葬式そうしきのときにもいてついてゆきました。それからというものは、かれ毎日まいにちのようにひまさえあればおてら墓地ぼちへいって、文雄ふみおはかまえにすわって、ちょうどきているともだちにかってはなすとおなじようにかたりました。
きみ、さびしいだろうとおもってぼくあそびにきたよ。」
と、良吉りょうきちはいいました。木枯こがらしは、そのさびしいほかにはだれも人影ひとかげのいない墓地ぼちきすさんで、れたが、そらや、うえにわびしくまわっていました。そして、しばらくそこに良吉りょうきちはいますと、やがてがうすぐらくなります。するとかれ名残惜なごりおしそうにかえってゆくのでありました。
けれど、良吉りょうきちの一事情じじょうがあって、そのくるとしにこのむらからほかのむらうつらなければならなくなりました。良吉りょうきちはまたしばらく文雄ふみおのおはかにもおまいりができなくなるとおもって、あるのことおはかへおまいりにまいりました。そして、そのわけをいってから、かれ名残惜なごりおしそうについにこのむらはなれたのであります。
今度こんど良吉りょうきちの一してきたところは、ある金持かねもちのいえとなりでありました。その金持かねもちのうちにも、ちょうど良吉りょうきちおなとしごろの力蔵りきぞうという子供こどもがありました。そして、二人ふたりはじきにともだちとなりました。
力蔵りきぞうはほしいものは、なんでもってもらいました。流行はやりのおもちゃも、きれいなほんも、いろいろのものをっていました。そして、それらのものをいえそとってきては、おなとしごろのともだちにみせました。良吉りょうきちにはまだはじめてるような、らないめずらしいおもちゃがありました。けれど力蔵りきぞうはだれにもそれをしてくれません。たとえしてくれても、すぐにそれをってしまいました。
良吉りょうきちこころうちで、自分じぶんもあんなおもちゃがほしいものだとおもいました。かれ飛行機ひこうきや、モーターボートや、オルゴールや、空気銃くうきじゅうなどは一つもってみたことがありません。どれでも力蔵りきぞうっているようなおもちゃの一つでも自分じぶんつことができたなら、自分じぶんはどんなにうれしいかしれないとおもいました。
力蔵りきぞうっている、いろいろなおもちゃのなかでも、かれのいちばんほしいとおもったものは飛行機ひこうきと、オルゴールでありました。そのオルゴールは、なんともいえないいい音色ねいろがするのでありました。
力蔵りきぞうさん、わたしにすこしそのるおもちゃをしてくれない?」
と、良吉りょうきちはあるそと力蔵りきぞうがオルゴールをらしているそばへいってたのみました。すると、力蔵りきぞうあたま左右さゆうって、
「いやだ。これをすと、きみはすぐに、こわしてしまうもの。」
といいました。
大事だいじにしてっているから、ちっとばかりしてくれない?」
と、良吉りょうきちなみだをたたえてたのみました。
ぼくは、ひとすのはいやだ。」
といって、力蔵りきぞうしてくれませんでした。

分享到:

顶部
11/18 13:47