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正に芸術の試煉期_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3334
 

町の真理

小川未明

せみ


B坊ビーぼうが、だれかにいじめられて、みちうえいていました。
「どうしたの?」と、わけをきくと、こうなのであります。
A坊エーぼうと、B坊ビーぼうは、いっしょにあそんでいたのです。すると、みんみんぜみがんできて、あたまうええだまりました。
二人ふたりは、いえはしっていって、もちぼうってこようとしました。すると、ごろから、つよい、わんぱくA坊エーぼうが、
「これは、ぼくのせみだからがしちゃいけないよ。ばんをしていておくれ。」と、めいずるように、B坊ビーぼうかっていいました。

清水良雄しみずよしお[#「清水良雄しみずよしお」はキャプション]
町の真理
よわB坊ビーぼうは、たとえ内心ないしんでは、それを無理むりかんじても、だまって、うなずくよりほかはなかったのです。
「どうか、エーちゃんのくるまで、みんみんぜみが、げてくれなければいいが……。」と、B坊ビーぼうは、心配しんぱいしていました。なぜなら、もし、せみが、げたら、きっとA坊エーぼうは、自分じぶんのせいにするとおもったから。
B坊ビーぼうは、うえいて、せみを見守みまもりながら、身動みうごきもせず、じっとしていました。せみは、つづけて、ミン、ミン、ミン――ときました。そして、きやむと、おもしたように、遠方えんぽうがけて、ってしまいました。うらめしそうに、B坊ビーぼうは、しばらく、ってしまったせみの行方ゆくえ見守みまもっていました。
そのとき、もちぼうったA坊エーぼうが、いきをきらしながら、あちらからけてきました。
ビーちゃん、せみはいる?」と、とおくから、こちらをさけびました。B坊ビーぼうは、なんとなく、すまなそうなかおつきをして、あたまをふり、
げてしまった。」と、こたえました。
「うそだ! きみが、がしたのだろう……。」と、A坊エーぼうは、すぐ、そばにくると難題なんだいをいいかけました。
ぼくが、がしたのではないよ。」と、B坊ビーぼうは、あまりのA坊エーぼう邪推じゃすいに、不平ふへいいだきました。
きみは、ばんをしているといったじゃないか?」
B坊ビーぼうは、たしかにそういったから、だまっていました。
きみは、ばんをしているといったろう。このうそつき!」
こういって、A坊エーぼうは、B坊ビーぼうをなぐったのです。
――はなしはこういうのでした。さあ、どちらに真理しんりがありましょう?
 

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11/18 11:46