万の死(2)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29 点击:3334
このとき、彼が、どんなことを考えていたか、だれも知るものはありません。生まれつき、無口の万は、思ったこと、考えたことを、めったに、他に話しません。役場へ勤めてからも、まじめ一方に働くばかりでした。しかし、なにか、うまいものが彼の手に入ると、だれの前もはばからず、きっと、
「こんなものを、母さんに食べさせてやりたかったなあ。」と、いうのでした。そして、ところを忘れて、母子が、さびしくまずしく暮らしたころのことを目に浮かべるのでした。また、なにかおもしろいもよおしでもあるときは、
「こんなのを、母さんに見せてやりたかったなあ。」と、かならずいうのでした。そして、すこしのたのしみも知らず、一人の子供のために、はたらきつづけた、みじめなやもめを思い出すのでした。けれど、それさえ、彼は口に出さなかったから、彼が、どれほどの正直者であるか、知るものがなかったのです。
彼は、日常、役場に泊まったり、自分の破进入日语论坛
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