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三つのお人形(3)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3334
 


よるになると、街燈がいとうが、みせさきでともりました。そのひかりは、ちょうど、おどっている人形にんぎょうのところへとどきました。
「おや、あなたおひとりになったのですか。あのかたは、どこへゆかれました。」と、ひかりは、たずねた。
「ひとりは、外国人がいこくじんに、ひとりは、どこかのむすめさんにつれられてゆきました。わたしは、ふたりのかたのおたよりをりたいとおもうのですが、あなたはおわかりになりませんか?」と、人形にんぎょうは、いいました。
まるあたまをした、たか街燈がいとうは、ためいきをついて、
「いくら、わたしたかくても、なんで、おふたりの行方ゆくえがわかりましょう? もし、もし、ってください。毎晩まいばんがやってきますから、っているかいてみてあげましょう。」と、こたえました。
おどっている人形にんぎょうは、なにぶんにもよろしくといってたのみました。よるになると、まちなかは、いっそう、にぎやかになりました。楽器がっきながれたり、草花屋くさばなやたりしました。ちょうど、そのとき、どこからか、街燈がいとうひかりしたって、んできました。ひかり人形にんぎょう約束やくそくをしたことをおもして、二つの人形にんぎょうについて、なにからないかとたずねたのです。
「お人形にんぎょうですって? わたしがなんで、そんなものを注意ちゅういしましょう。わたしきなのは、はなとあなたばかしです。ひるは、はなをたずねてあるき、よるは、こうしてひかりしたってんできます。みじかわたしたちの一しょうは、このなかでいちばんうつくしいものをることです。」と、は、いいました。
あくるばん街燈がいとうは、このことをおどっている人形にんぎょうはなしました。これをくと人形にんぎょうは、がっかりしました。それは、ふたりのともだちの消息しょうそくがわからないということよりも、なかでいちばんうつくしいのは、はなひかりであると、がいったというなら、自分じぶんは、まったく無視むしされたためです。
「そう、ちからとしたものではありません。もう、しばらく、あなたがここにおいでなさるなら、だれか、ほかのものにもいてみてあげますよ。」と、街燈がいとうは、なぐさめたのであります。
二、三にちたってから、あたりのまぶしい昼間ひるまのこと、つばめが、ちょうどあたまうえんできました。
「もし、もし、つばめさん、すこしおたずねしたいことがあるのですが……。」と、街燈がいとうは、びとめたのです。すると、つばめは、屋根やねのひさしにとまりました。
「なんのごようですか?」といって、つばめは、くびをかしげて、街燈がいとうました。
「ここから、あのみせさきにかざってある、おどっている人形にんぎょうえるでしょう……。」
つばめのは、よかったから、すぐわかりました。
「よくえます。あのちいさなたなには、たった一つしかありませんね。」
「三つあったのですが、ついこのごろ、二つれてしまったのですよ。三つのお人形にんぎょうは、おなひとつくられたので、それはなかがよかったのです。それで、一つになってしまって、あのお人形にんぎょうはさびしがっています。」
「それは、無理むりもないことです。」と、つばめも、同情どうじょうしました。
「そんなわけで、二つのおともだちは、どこへいったかとおもらしているのですが、あなたは、身軽みがる方々ほうぼうをおあるきなさいますが、おりにはなりませんか……。」と、街燈がいとうは、いいました。
「いくら、わたしが、身軽みがる方々ほうぼうびまわるからといって、どうして、うちなかのことまでがわかりましょう……。それは、無理むりというものですよ。」
「一つのすわっているお人形にんぎょうは、外国人がいこくじんっていったというのですが。」
外国人がいこくじんですって……。そういえば、わたしは、人形にんぎょうをたくさんあつめている外国人がいこくじんっています。そのひとは、ここから七、八はなれた、海岸かいがんんでいました。家族かぞくといっては、ほかにとしとった、やといのおばあさんがいるばかり、ひろにわには、いっぱい草花くさばなえて、これをあいしていました。また、晩方ばんがたになると、そのひとは、うみのほとりにって、あちらをながめて、ふるさとのことをおもしていました。あるわたしが、ひとのいない時分じぶんに、まどからのぞくと、いろいろのお人形にんぎょうが、たなのうえかざられてありましたが、それらのお人形にんぎょうたちは、近々ちかぢかに、主人しゅじん外国がいこくかえるそうだが、たぶん、そのときつれてゆかれるだろうということをはなしていました。らないくにへゆくのをおもしろがっているものもありましたが、また、いったら、もう二とこちらへはかえられないといって、かなしんでいるものもありました。……もし、あのなかに、そのおともだちがいられたなら、おそらく、もう消息たよりかれますまい。なぜなら、二めに、わたしが、そのいえまどをのぞいたときには、すっかりお人形にんぎょうは、荷造にづくりされていたようすでしたから……。」
つばめは、こう物語ものがたったのであります。街燈がいとうよるになったときに、ふたたび、このことをおどっている人形にんぎょうはなしました。
「あの人形にんぎょうは、どこへいってもかわいがられるでしょう。」と、人形にんぎょうしずみがちに、おどりながらいいました。

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