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三つのかぎ(2)_小川未明童話集_日语阅读_日语学习网
日期:2024-10-24 10:29  点击:3335
 


べつに、また一人ひとり若者わかものがありました。こころざしをたて、故郷こきょうてから、もう幾年いくねんにかなりましたけれど、目的もくてきたっすることができずに、あちら、こちらと流浪るろうしていました。あるのこと、かれは、つかれたあしきずりながら、さびしいむかし城跡しろあととおったのであります。すると、こわれかかった石垣いしがきあいだに、夕日ゆうひひかりけて、ぴかぴかかがやいているものがありました。そのひかりは、なかばつちにうずもれているためか、それほどのつよかがやきではなかったけれど、かれ注意ちゅういをひくに十ぶんだったのであります。
「なにがひかっているのだろう?」と、若者わかものは、その石垣いしがきのそばへってみました。そして、あいだからひかっているものをすと、ちいさなかぎでありました。
「なにに使つかったものだろう……。」とおもいながら、よくますと、それには、3という番号ばんごうがついていました。しかし、不思議ふしぎなかぎのようながして、それをふたたびてることができなかったのです。きっと、このかぎでひらかれるはこか、なにかがあるにちがいない。もしそれをいだしたなら、いま自分じぶんいだいているような、すべての野心やしんげられるだろうというようながしたのでした。
しかし、その秘密ひみつはこは、どこにうずもれているかわからなかった。若者わかものは、そのから、このむかし城跡しろあとやこの付近ふきんまちをたずねあるいて、黄金こがねはこはなしそうとしました。この若者わかものは、なかなかの智慧者ちえしゃでありましたから、このかぎが、どんなかねつくられていたかということを、すぐに見分みわけることができたのです。そして、このかぎを使つかってけるほどのはこは、やはり黄金こがねつくられたはこにちがいない。黄金こがねはこなどというものは、そうたくさんあるものでないから、どこかのくら宝物ほうもつとなって、そのまましまってあるか、もしくは、どこかの地中ちちゅうにうずめられているという昔話むかしばなしでも、のこっているであろうとかんがえたからです。
ただ、このりこうな若者わかものは、このかぎの番号ばんごうが3であったから、まだこれとおないかぎがにあろうとおもいました。それで、自分じぶんよりすでにさきに、だれかそのはこけてしまうものがないかということを心配しんぱいしたのでした。
「いくつもかぎをつくってあるからには、このはこは、だれにでも、すぐに発見はっけんされるような場所ばしょかくしてはないだろう。」とおもって、まだそれがつからないとかんがえたのであります。
若者わかものは、それがために、熱心ねっしんしろ歴史れきしなどから伝説でんせつなどをしらべたのでした。

 


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