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第六章 国中けぶり発たず
日期:2024-01-22 23:48  点击:276
第六章
 国中けぶり発たず
  国を富ませた河内の聖帝
【第六章あらすじ ─聖帝の御代─ 】
  善政を施しながらも派手な女性関係を楽しんだ聖の帝
 第十五代ホムダワケ(応おう神じん天皇)は、皇位継承候補の三人の御み子このうち、
末子のウヂノワキイラツコに皇位を譲る旨を言い残して崩御した。ところが一番上のオホ
ヤマモリがこれに反発し、軍勢を集める。それを知った次兄のオホサザキは弟のウヂノワ
キイラツコに急を知らせた。これを受けたウヂノワキイラツコは策を巧みに駆使してオホ
ヤマモリを殺害。このあとオホサザキとウヂノワキイラツコは皇位を譲り合う。結局はウ
ヂノワキイラツコが早世したため、オホサザキが即位した。のちに聖帝と称たたえられる
仁にん徳とく天皇である。
 なお、この時代は大陸から先進技術を伝えた渡と来らい人じんも多く、こうした史実は
新羅しらぎ国の王子アメノヒボコの渡来伝説に象徴されている。新羅国で日の光を浴びた
ある女が赤い玉を生んだ。その玉がアメノヒボコの手に渡ると、玉は美しい乙女へと姿を
変える。アメノヒボコはこの乙女と夫婦の契りを交わすが、次第に傲慢な振る舞いが目立
つようになり、これに耐えかねた乙女は突然、母の国に帰ると言って日本へ渡ってしま
う。アメノヒボコは、その跡を多くの宝物を携えて追ってきたという。
 さて、皇位に就いたオホサザキは治水工事を行なって国を富ませる一方、家々の竈かま
どから煙が立ち昇らないのを見て人民の窮状を悟り、三年間、税を免除するといった善政
を施したため、聖帝と称えられた。また、雁が卵を産んだ、枯かれ野のと名づけられた快
速船の廃材から琴を作ると、音が美しく近在に鳴り響いた、など数々の瑞ずい兆ちようの
記録があることも聖帝として位置づけられていた証拠である。
 だが、私生活では女性関係も華やかであり、良くも悪くも英雄然とした天皇だったよう
だ。後宮に次々と女性が入るのを見て、皇后イハノヒメは嫉妬心をたぎらせる。吉備のク
ロヒメは皇后を恐れて、逃げ帰ったほどだ。また、イハノヒメは、自分の留守中に天皇が
他の女性と懇ねんごろになったため、怒って実家へ帰ってしまったこともある。だが、天
皇の恋愛譚で最大の波乱は妹メドリとの逸話だろう。求婚の使者に差し向けた弟ハヤブサ
ワケがメドリと通じたばかりか、天皇暗殺をも企てた。これを知った天皇は怒り、軍勢を
出してふたりを殺害している。
 天皇崩御後はまたもや皇位継承争いが勃発。長男のイザホワケ(履り中ちゆう天皇)が
即位したが、すぐ下のスミノエノナカツミコが兄を殺そうと御殿に火を放つ事件が発生し
た。その下の弟、ミヅハワケがスミノエノナカツミコの家来を籠ろう絡らくして主人を殺
させ、事件は落着する。このミヅハワケが次代の天皇となり、さらにその跡をヲアサヅマ
ワクゴノスクネ(允いん恭ぎよう天皇)が継ぎ、兄弟間の相続が続いた。

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09/30 02:26