「外から見た感じはすぼまって狭そうだけれど、中は洞穴になっているよ」
と教えてくれました。そこを足で踏みつけたところ、穴が開いて彼の身体がストンと地面の下へ落ちたのです。
穴の中にいる間に炎は消えてしまい、おまけにネズミが鏑矢を探して持って来てくれていました。鏑矢に付いていた羽根はネズミの子たちが全部噛みちぎってしまっていました。
さすがにこの炎の中では生きてはいまいと、スセリビメは彼を弔う道具を涙ながらに手にして、スサノオもまた彼の死を確信して焼け野原に立ちました。
ところが大国主が鏑矢を持って戻って来たので、スサノオは彼を家に連れて帰り、今度は大きな部屋に入ります。
そして大国主に自分の髪のシラミを取り除くよう命じました。
ところがどっこい、髪にはムカデがうじゃうじゃと。すかさずスセリビメがムクの実(※写真参照)と赤土を彼に授けます。
大国主はムクの実を噛みちぎって、赤土を口にふくみ、唾と一緒に吐き出しました。スサノオはそれを聞いてムカデを噛みちぎって吐き捨てているのだと思いこんで、感心しつつもそのまま眠ってしまいます。