海の波に揺られ、ガガイモの実(写真参照)を割った小さな舟に乗って、蛾の皮を剥いで縫い合わせた服を着て、こちらへ近づいて来る神の姿が見えました。
大国主は名前を尋ねましたが、返事がありません。そばにいた神々にも訊いてみますが、誰もが、
「知りません」
と答えました。
しかしヒキガエル(タニグク)が、
「案山子(かかし?クエビコ)ならばあれが誰なのか、必ず知っているはずです」
と申し上げたので、すぐに案山子を呼び寄せて訊いてみると、
「あれは高天原のカミムスビの神の子で、スクナビコナ(少名毘古那)ですね」
と答えました。
そこで大国主がカミムスビの神に確認したところ、
「この神は確かに私の子です。小さな身体なので、私の指の間からこぼれ落ちた子なのです。
スクナビコナよ、お前は大国主と兄弟になり、一緒にこの国を作り固めるのです」
とお答えになられました。