「今、お前の子の事代主がこのように言ったぞ。彼の他に意見を述べる子はいるのか?」
「タケミナカタ(建御名方神)という息子の神がいます。ほかにはいません」
と大国主が答えていたちょうどそのとき、タケミナカタが千人で引っ張らないと動かないほどの大きな岩を手のひらの上で転がしながら、やって来て言いました。
「我が国に来てコソコソと話をしているのは誰だ? よし、どっちの力が強いか競おうじゃないか。じゃあまずは俺がお前の手を掴んでやる」
タケミナカタが、タケミカヅチの手を掴んだその瞬間、タケミナカタの手が突然凍ったかと思うと、今度は剣に変化しました。タケミナカタはドン引きして、思わず後ずさり。
続いてタケミカヅチが、タケミナカタの手を掴もうと言って、彼の手を取るやいなや、若い葦を掴むように握りつぶし、ポイッと放り投げました。
タケミナカタはそのまま逃げて行きました。