出典は『三国志』と『後漢書』です。中国三国時代の宰相林氏と後漢の将軍馬援が、若いころに将来大器となるであろう素質を見出され?従兄や兄から「あわてずにじっくりと大成せよ」と教えられたといいます。
つまり、大人物といえども、その素質が短時日にあらわれてくるものではなく、着実に自己を磨いていかなければならないという意味を含むものです?決して大人物はじっとしていればいつか必ず芽が出るということではありません。
◆他山の石
『詩経』に、「他山の石 以て玉を攻(をさ)むべし」とあり、よその山から出た粗悪な石でも自分の玉を磨くのに役立てることができるという意味です?そこから、人の誤まった言動も、それを参考にして自分の修養の助けとなるというときに使います?注意しなければならないのは?「他山の石」は悪いものですから、「あなたの行動を他山の石として、がんばります」などと面と向かって言ってはなりません。
◆多士済済(たしせいせい)
出典は『詩経』で、原文は「済々たる多士」です。「済々」は「せいせい」と読むのが正当です?
周の文王は、善政をしき人民に慕われた王様ですが、賢人を広く求めて登用し?よく彼らの進言を聞き入れました。そのため、志を持った多くの人材が諸国からやってきて?文王のまわりは有能な文官?武官だらけとなったのです。そして、そのようすを形容したのがこのことばです。